【民法504条】担保保存義務免除特約とは - ほのぼのと司法試験に挑戦

【民法504条】担保保存義務免除特約とは

民法
10 /30 2016

 担保保存義務免除特約を勉強したので、同特約とそれに関連した論点について記事を書こうと思う。備忘録である。

 民法504条では、「第500条の規定により代位をすることができる者がある場合において、債権者が故意又は過失によってその担保を喪失し、又は減少させたときは、その代位をすることができる者は、その喪失又は減少によって償還を受けることができなくなった限度において、その責任を免れる。」と規定される。

 したがって、債権者は、保証人に履行を請求することを考えるならば、担保を喪失、減少させることができないことになり、この事実上の効果から、同条が担保保存義務を課していると考えることができる。

 とはいえ、担保保存義務をそのまま金融機関が受け入れてしまうと、融通が利かなくなってしまうため、約款にこの担保保存義務を免除する特約を付けている。

 すなわち、担保保存義務免除特約とは、任意規定である民法504条の適用を排除する特約のことである。

 (1)まず、このような特約が法律上許されるのだろうか。

 判例(最判平成7年6月23日)は、「債務の保証人、物上保証人等、弁済をするについて正当な利益を有する者(以下「保証人等」という。)が、債権者との間で、あらかじめ民法五〇四条に規定する債権者の担保保存義務を免除し、同条による免責の利益を放棄する旨を定める特約は、原則として有効であるが(最高裁昭和四七年(オ)第五五五号同四八年三月一日第一小法廷判決・裁判集民事一〇八号二七五頁参照)、債権者がこの特約の効力を主張することが信義別に反し、又は権利の濫用に当たるものとして許されない場合のあり得ることはいうまでもない。しかしながら、当該保証等の契約及び特約が締結された時の事情、その後の債権者と債務者との取引の経緯、債権者が担保を喪失し、又は減少させる行為をした時の状況等を総合して、債権者の右行為が、金融取引上の通念から見て合理性を有し、保証人等が特約の文言にかかわらず正当に有し、又は有し得べき代位の期待を奪うものとはいえないとき、他に特段の事情がない限り、債権者が右特約の効力を主張することは、信義則に反するものではなく、また、権利の濫用に当たるものでもないというべきである。」という判断基準を示し、基本的に許されるとしている。

 (2)では、免責がなされなかった、すなわち同条の適用がなかった場合に、対象不動産が譲渡された場合、譲受人は担保保存義務免除特約を締結していないのだから、同約款の効果が及ばず、同条の免責の効果を主張できないか。

 これについて上記判例は、「 債権者が担保を喪失し、又は減少させた後に、物上保証人として代位の正当な利益を有していた者から担保物件を譲り受けた者も、民法五〇四条による免責の効果を主張することができるのが原則である(最高裁昭和六一年(オ)第一一九四号平成三年九月三日第三小法廷判決・民集四五巻七号一一二一頁参照)。しかし、債権者と物上保証人との間に本件特約のような担保保存義務免除の特約があるため、債権者が担保を喪失し、又は減少させた時に、右特約の効力により民法五〇四条による免責の効果が生じなかった場合は、担保物件の第三取得者への譲渡によって改めて免責の効果が生ずることはないから、第三取得者は、免責の効果が生じていない状態の担保の負担がある物件を取得したことになり、債権者に対し、民法五〇四条による免責の効果を主張することはできないと解するのが相当である。」と判示している。

 短答のために覚えておいて損ではないところであろうから、備忘録もかねて、記事にしました。以上

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水刀

2017年4月、LSに入学しました。