違法収集証拠排除法則の論証 - ほのぼのと司法試験に挑戦

違法収集証拠排除法則の論証

刑事訴訟法
10 /04 2016

 違法収集証拠排除法則の論証です。規範定立が新司法試験としては長いので、省略したいのですが、現状ではこれでいきたいと思います。何か短縮、間違い等があればコメントいただけると嬉しいです。

(問題提起)
 違法に収集された証拠物に、証拠能力が認められるか。憲法及び刑事訴訟法に規定がないために問題となる。

(規範定立)
 収集手続きの違法性によって証拠物の証拠価値は変化しないから、「事案の真相を明らかに」(法1条)する必要性ゆえに、直ちに証拠能力を否定することは相当でない。しかし、事案の究明は、適正手続(法1条、憲法31条)によりなされる必要性があり、憲法の刑事手続きに関する人権保障規定(同33,35条)に鑑みると、証拠収集手続きに、令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、将来における違法捜査抑制の見地からして相当でないときは、その証拠能力は否定される。

(あてはめ)
【否定事例-S53.9.7:事案の詳細は、下記に記す。】
 本件所持品検査は、職務質問の要件が存在し、かつ、所持品検査の必要性と緊急性が認められる状況のもとで、左側ポケットの中の所持品検査を行うことを伝え、それに対して諾否の態度が明白ではなかった被告人に対し行われたものであるから、所持品検査として許容される限度をわずかに超えて行われたに過ぎない。したがって、本件証拠物の押収手続の違法は重大であるとはいえない。

【肯定事例】
 単純な肯定事例は、最高裁レベルではない。違法な身柄拘束に密接関連する尿検査の証拠排除の事例(最判平成15年2月14日)が存在するが、これは別に書こうと思う。
 これについての記事は。こちらから⇒派生証拠に関する違法収集証拠排除法則の適用-毒樹の果実論

◆最判昭和53年9月7日
 初めて違法収集証拠排除法則について触れた最高裁判決である。
 適法な職務質問中に、所持品検査の必要性と緊急性が認められる状況のもとで、被告人が「右側内ポケットから目薬とちり紙(ちり紙の中に白色粉末が入れられていたが、覚せい剤ではなかった。)を取り出して手渡し、B巡査がさらに他のポケットを触らせてもらうと言ったところ、被告人はものを言わなかったがB巡査が被告人の上衣とズボンのポケットを外から触ったところ、上衣の左側内ポケットに刃物ではないが何か堅い物が入っている感じでふくらんでいたので、同巡査が「まだ入っているから出してくれ。」と言うと、被告人は黙ったままなので、「いいかげんに出してくれ。」と強く言ったが、それにも答えないので、「それなら出してみるぞ。」と言ったところ、被告人は何かぶつぶつ言って不服らしい態度を示していたが、同巡査が被告人の左側内ポケット内に手を入れて取り出してみると、ちり紙の包、プラスチックケース入り注射針一本が入れてあり、右ちり紙の包みを被告人の面前で開披してみると、本件証拠物であるビニール袋入り覚せい剤ようの粉末が入っているのを発見した」(初めて違法収集証拠排除法則を指摘した最判昭和53年9月7日の原審である大阪高裁昭和51年4月27日判決から引用、巡査の名前等一部改変。)事案である。


-関連記事-
派生証拠に関する違法収集証拠排除法則の適用-毒樹の果実論

最判平成15年2月14日
 初めて違法収集証拠排除法則を適用した判例の紹介と簡単な解説です。

自白法則
強制処分の論証
強制処分に関する判例一覧

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水刀

2017年4月、LSに入学しました。