2017年03月 - ほのぼのと司法試験に挑戦

入門刑事手続法 第7版 (有斐閣アルマ > Specialized) 三井誠 酒巻匡 の発売

基本書
03 /30 2017

 刑事訴訟法の最初の教科書として定評のある入門刑事手続法(有斐閣アルマ)の第7版が、2017年3月30日に出版されました。「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」(2016年5月24日)の成立により、刑事訴訟法の改正―証拠開示の拡充、合意制度の創設など―が行われていますが、本書「入門刑事手続法」第7版のはしがきを見る限り、これに対応しているそうです。

 入門刑事手続法 第6版の評判も非常に良く、個人的に最初の刑事訴訟法の基本書としておすすめする一冊です。特に、刑事訴訟法を勉強したい法学部生や未修の法科大学院生におすすめします。また、改正刑事訴訟法に対応した基本書を探している人としては、2017年3月30日現在で、本書しか選択肢がないと思われます。

 学説の深い対立には首を突っ込まないところは、正に「入門」といったところですが、判例通説から押さえるべき箇所を422頁を使って解説しているので、しっかりと刑事訴訟法を理解することができます。本書「入門刑事手続法 第7版 (三井誠 酒巻匡)」は、広く刑事訴訟法を勉強する人におすすめする基本書です。

【購入検討】
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自白法則の論証
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平成27年司法試験 刑事訴訟法 練習答案 捜査編
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月間8000PV達成 | 2017年2月の運営報告

当ブログ運営について(運営方針)
03 /24 2017

 日に100人以上訪れるようになり、PV数も月間8000PVを達成することができました。7割以上のブログが平均アクセス数50人以下、月間5000PV以下であることを考えると、月間8000PVというのは中々の出来だと思います。これからも当ブログを覗いていってくれると嬉しいです。

 流入経路は、Google検索>yahoo検索>にほんブログ村 司法試験>その他となっています。検索サイトから見に来てくれる人が日に50人を超えているのは非常に嬉しいです。

 これからも運営をがんばっていきますので、応援よろしくお願いします。各種記事においてコメントを頂けると励みになりますので、コメントの方もよろしくお願いします。

 以下、2月に良く見られた記事一覧です。良かったら見ていってください。

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 前月の人気記事ランキングと比較すると、傾向は変わっていませんね(笑)。できれば、基本7科目の基本書の紹介ページを作りたかったのですが、中々時間が作れませんでした。

 これからも当ブログをよろしくお願いします。

法学部入学前に法律の勉強をすべきか

法学部
03 /20 2017

 この記事は、「法学部入学前に英語などの勉強はしようと思うけれど、法律の勉強をする必要があるのだろうか。」という疑問に答える記事を目指しています。

 大学入学前に英語の勉強をする人は多いと思います。英語学習は、大学の英語の授業や就職のときに備える意味で役に立つことです。一方、専門科目である法律系の科目については勉強する必要があるのか。また、勉強するとしてもどうやって勉強すればいいのかについて、疑問・不安に思っている人も多いと思いますので、法学部入学前に法律の勉強をすべきかについて語りたいと思います。


法学部を卒業することだけを考えれば

 法学部に入学する人のほとんどが事前に法律の勉強をしていないので、平凡に単位を取り、卒業することだけを考えれば、事前に法律の勉強をする必要はありません。

それでも、法学部入学前の法律勉強をおすすめする理由

 まず、平凡に卒業するだけでは満足できない人―言い換えれば、法律の勉強をして、公務員試験、行政書士・司法書士試験、司法試験などに挑戦したいと考えている人―であれば、事前に法律の勉強をするメリットが大きいです。特に難関である人気が高い公務員試験、司法書士試験、司法試験に興味があるのであれば、勉強を開始すべきでしょう。

 次に、各大学にもよりますが、条文の読み方すら教えずに、それを当然知っているものとして授業をする教授も(淘汰されてきていますが)存在するので、法律の基礎を習得しておく方が安全であるためです。

 最後に、現在では、法律学習の初心者に対する書籍が増えていますので、法学部入学前に勉強を開始することが容易になっていることもおすすめする理由です。

では、どのように勉強をすればいいのでしょうか。

 法律の条文の読み方など法律の基礎についての解説本を使いつつ、一般的な大学の法学部1年生で必修科目となる「憲法」、「民法」、「刑法」の入門書を用いて勉強することをおすすめします。これらの入門書を読むだけで勉強になるはずです。
 おすすめの入門書については、法学部入学前に読んで欲しい本10選 で紹介しているので、もしよければご覧ください。


「法学部入学前に法律の勉強をすべきか」についてのまとめ

 卒業や単位取得だけを考えれば法律の勉強を開始する必要はありませんが、もし、法律をしっかりと勉強する理由があれば法学部入学前から勉強を開始した方がいいでしょう。





「日本一やさしい条文・判例の教科書」の紹介・感想

法学部
03 /18 2017

 初めて法律を勉強する人におすすめ書籍!

 条文・判例は法律の勉強に必要不可欠なものですが、本書は、これに特化し解説をしています。表紙のイメージとは異なり、条文・判例に関する解説をしっかりとしているので、分かりやすく・正確に理解することができます。

 読者を引き込むような文章よりも、わかりやすさ・正確さを追求しているので、「法律の勉強をしっかりとしたい」というやる気のある人におすすめする一冊です。


 ←法学部入学前に読んで欲しい本10選に戻る。

◆おすすめの記事
マークシート用鉛筆の紹介

法学部入学前に読んで欲しい本10選
 法律学習をまだしたことのない人におすすめの記事です。

憲法基本書紹介
 2017年2月8日から公開した記事です。初学者用の憲法基本書についても紹介しています。

1000円以下のスマホ対応手袋の紹介
 冬の寒い時期に合う記事です。ぜひご覧ください。

憲法基本書紹介
 2017年2月8日から公開した記事です。初学者用の憲法基本書についても紹介しています。

著作権判例百選が著作権侵害を主張され出版差止めを受けたが、逆転勝訴で著作権判例百選が出版される。
 有名な事件についての解説です。

トランプが当選したのはなぜなのか、英国EU離脱国民投票から考える。
 政治に興味があれば、覗いていってくれると嬉しいです。



GPS捜査に関する最高裁判決の判決文、感想 - 最判平成29年3月15日

刑事訴訟法
03 /16 2017

 憲法、刑事訴訟法の分野において議論されてきたGPS捜査に関する最高裁判決が出されました。簡単な感想については下記に記しましたが、学説の評価が出てきてからさらに詳しく書こうと思います。テレビのニュースやにほんブログ村 司法試験予備試験でも話題となり、最高裁大法廷で審理されたことからも非常に重要な判決です。2017(平成29)年5月13日に発売された刑事訴訟法判例百選にも掲載された重要判例です。

 以下、囲みの部分が判決全文です。

平成28年(あ)第442号 窃盗,建造物侵入,傷害被告事件
平成29年3月15日 大法廷判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
 弁護人亀石倫子ほかの上告趣意のうち,憲法35条違反をいう点は,後記のとおり,原判決の結論に影響を及ぼさないことが明らかであり,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
以下,所論に鑑み,車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索し把握する刑事手続上の捜査(以下「GPS捜査」という。)の適法性等に関する原判決の判断の当否について,判断を示す。
1 事案の概要
 原判決及び第1審裁判所の平成27年6月5日付け決定によれば,本件においては,被告人が複数の共犯者と共に犯したと疑われていた窃盗事件に関し,組織性の有無,程度や組織内における被告人の役割を含む犯行の全容を解明するための捜査の一環として,平成25年5月23日頃から同年12月4日頃までの約6か月半の間,被告人,共犯者のほか,被告人の知人女性も使用する蓋然性があった自動車等合計19台に,同人らの承諾なく,かつ,令状を取得することなく,GPS端末を取り付けた上,その所在を検索して移動状況を把握するという方法によりGPS捜査が実施された(以下,この捜査を「本件GPS捜査」という。)。
2 第1審及び原審の判断の要旨
(1) 第1審裁判所は,本件GPS捜査は検証の性質を有する強制の処分(刑訴法197条1項ただし書)に当たり,検証許可状を取得することなく行われた本件GPS捜査には重大な違法がある旨の判断を示した上,本件GPS捜査により直接得られた証拠及びこれに密接に関連する証拠の証拠能力を否定したが,その余の証拠に基づき被告人を有罪と認定した。
(2) これに対し,原判決は,本件GPS捜査により取得可能な情報はGPS端末を取り付けた車両の所在位置に限られるなどプライバシーの侵害の程度は必ずしも大きいものではなかったというべき事情があること,被告人らの行動確認を行っていく上で,尾行や張り込みと併せて本件GPS捜査を実施する必要性が認められる状況にあったこと,本件GPS捜査が強制の処分に当たり,無令状でこれを行った点において違法と解する余地がないわけではないとしても,令状発付の実体的要件は満たしていたと考え得ること,本件GPS捜査が行われていた頃までに,これを強制の処分と解する司法判断が示されたり,定着したりしていたわけではなく,その実施に当たり,警察官らにおいて令状主義に関する諸規定を潜脱する意図があったとまでは認め難いこと,また,GPS捜査が強制処分法定主義に反し令状の有無を問わず適法に実施し得ないものと解することも到底できないことなどを理由に,本件GPS捜査に重大な違法があったとはいえないと説示して,第1審判決が証拠能力を否定しなかったその余の証拠についてその証拠能力を否定せず,被告人の控訴を棄却した。
3 当裁判所の判断
 そこで検討すると,原判決の前記2(2)の説示に係る判断は是認できない。その理由は,次のとおりである。
(1) GPS捜査は,対象車両の時々刻々の位置情報を検索し,把握すべく行われるものであるが,その性質上,公道上のもののみならず,個人のプライバシーが強く保護されるべき場所や空間に関わるものも含めて,対象車両及びその使用者の所在と移動状況を逐一把握することを可能にする。このような捜査手法は,個人の行動を継続的,網羅的に把握することを必然的に伴うから,個人のプライバシーを侵害し得るものであり,また,そのような侵害を可能とする機器を個人の所持品に秘かに装着することによって行う点において,公道上の所在を肉眼で把握したりカメラで撮影したりするような手法とは異なり,公権力による私的領域への侵入を伴うものというべきである。
(2) 憲法35条は,「住居,書類及び所持品について,侵入,捜索及び押収を受けることのない権利」を規定しているところ,この規定の保障対象には,「住居,書類及び所持品」に限らずこれらに準ずる私的領域に「侵入」されることのない権利が含まれるものと解するのが相当である。そうすると,前記のとおり,個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって,合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であるGPS捜査は,個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するものとして,刑訴法上,特別の根拠規定がなければ許容されない強制の処分に当たる(最高裁昭和50年(あ)第146号同51年3月16日第三小法廷決定・刑集30巻2号187頁参照)とともに,一般的には,現行犯人逮捕等の令状を要しないものとされている処分と同視すべき事情があると認めるのも困難であるから,令状がなければ行うことのできない処分と解すべきである。
(3) 原判決は,GPS捜査について,令状発付の可能性に触れつつ,強制処分法定主義に反し令状の有無を問わず適法に実施し得ないものと解することも到底できないと説示しているところ,捜査及び令状発付の実務への影響に鑑み,この点についても検討する。
 GPS捜査は,情報機器の画面表示を読み取って対象車両の所在と移動状況を把握する点では刑訴法上の「検証」と同様の性質を有するものの,対象車両にGPS端末を取り付けることにより対象車両及びその使用者の所在の検索を行う点において,「検証」では捉えきれない性質を有することも否定し難い。仮に,検証許可状の発付を受け,あるいはそれと併せて捜索許可状の発付を受けて行うとしても,GPS捜査は,GPS端末を取り付けた対象車両の所在の検索を通じて対象車両の使用者の行動を継続的,網羅的に把握することを必然的に伴うものであって,GPS端末を取り付けるべき車両及び罪名を特定しただけでは被疑事実と関係のない使用者の行動の過剰な把握を抑制することができず,裁判官による令状請求の審査を要することとされている趣旨を満たすことができないおそれがある。さらに,GPS捜査は,被疑者らに知られず秘かに行うのでなければ意味がなく,事前の令状呈示を行うことは想定できない。刑訴法上の各種強制の処分については,手続の公正の担保の趣旨から原則として事前の令状呈示が求められており(同法222条1項,110条),他の手段で同趣旨が図られ得るのであれば事前の令状呈示が絶対的な要請であるとは解されないとしても,これに代わる公正の担保の手段が仕組みとして確保されていないのでは,適正手続の保障という観点から問題が残る。
 これらの問題を解消するための手段として,一般的には,実施可能期間の限定,第三者の立会い,事後の通知等様々なものが考えられるところ,捜査の実効性にも配慮しつつどのような手段を選択するかは,刑訴法197条1項ただし書の趣旨に照らし,第一次的には立法府に委ねられていると解される。仮に法解釈により刑訴法上の強制の処分として許容するのであれば,以上のような問題を解消するため,裁判官が発する令状に様々な条件を付す必要が生じるが,事案ごとに,令状請求の審査を担当する裁判官の判断により,多様な選択肢の中から的確な条件の選択が行われない限り是認できないような強制の処分を認めることは,「強制の処分は,この法律に特別の定のある場合でなければ,これをすることができない」と規定する同項ただし書の趣旨に沿うものとはいえない。
 以上のとおり,GPS捜査について,刑訴法197条1項ただし書の「この法律に特別の定のある場合」に当たるとして同法が規定する令状を発付することには疑義がある。GPS捜査が今後も広く用いられ得る有力な捜査手法であるとすれば,その特質に着目して憲法,刑訴法の諸原則に適合する立法的な措置が講じられることが望ましい。
(4) 以上と異なる前記2(2)の説示に係る原判断は,憲法及び刑訴法の解釈適用を誤っており,是認できない。
4 しかしながら,本件GPS捜査によって直接得られた証拠及びこれと密接な関連性を有する証拠の証拠能力を否定する一方で,その余の証拠につき,同捜査に密接に関連するとまでは認められないとして証拠能力を肯定し,これに基づき被告人を有罪と認定した第1審判決は正当であり,第1審判決を維持した原判決の結論に誤りはないから,原判決の前記法令の解釈適用の誤りは判決に影響を及ぼすものではないことが明らかである。
 よって,刑訴法410条1項ただし書,414条,396条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官岡部喜代子,同大谷剛彦,同池上政幸の補足意見がある。
 裁判官岡部喜代子,同大谷剛彦,同池上政幸の補足意見は,次のとおりである。
 私たちは,GPS捜査の特質に着目した立法的な措置が講じられることがあるべき姿であるとの法廷意見に示された立場に賛同するものであるが,今後立法が具体的に検討されることになったとしても,法制化されるまでには一定の時間を要することもあると推察されるところ,それまでの間,裁判官の審査を受けてGPS捜査を実施することが全く否定されるべきものではないと考える。
 もとより,これを認めるとしても,本来的に求められるべきところとは異なった令状によるものとなる以上,刑訴法1条の精神を踏まえたすぐれて高度の司法判断として是認できるような場合に限定されよう。したがって,ごく限られた極めて重大な犯罪の捜査のため,対象車両の使用者の行動の継続的,網羅的な把握が不可欠であるとの意味で,高度の必要性が要求される。さらに,この場合においても,令状の請求及び発付は,法廷意見に判示された各点について十分配慮した上で行われなければならないことはいうまでもない。このように,上記のような令状の発付が認められる余地があるとしても,そのためには,ごく限られた特別の事情の下での極めて慎重な判断が求められるといえよう。

検察官榊󠄀原一夫,同宇川春彦 公判出席
(裁判長裁判官 寺田逸郎 裁判官 岡部喜代子 裁判官 大谷剛彦 裁判官大橋正春 裁判官 小貫芳信 裁判官 鬼丸かおる 裁判官 木内道祥 裁判官山本庸幸 裁判官 山崎敏充 裁判官 池上政幸 裁判官 大谷直人 裁判官 小池 裕 裁判官 木澤克之 裁判官 菅野博之 裁判官 山口 厚)


GPS捜査に関する最高裁判決(最判平成29年3月15日)の感想・まとめ
 GPS捜査が強制処分にあたることや、強制処分法定主義と令状主義を峻別していること、強制処分の判断において「個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するもの」という基準を使っていること、手続の公正の担保と強制処分の立法的なコントロールの観点から、(補足意見を参考にしつつ考えると)一部の重大な犯罪で高度な必要性が認められる場合を除いては、GPS捜査を行うためには立法が必要があることについて、最高裁は判断したと考えることができます。

 強制処分の論証の記事について、現状記事の変更をする余裕はありませんが、「個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するもの」という基準に変更すべきかどうかについては、考える必要があるかもしれません。(ただし、この部分を除いては、論証の変更は不要と考えています。)

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刑事訴訟法の論証 - 強制処分、強制処分法定主義について
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民法6 親族・相続 第4版 (LEGAL QUEST)

基本書
03 /14 2017

 リークエ家族法の最新版が、2017年3月18日に発売される予定です。

 LEGAL QUEST(リークエ)は、会社法 第3版 (LEGAL QUEST)を始めとして、基本七科目の基本書として高い評価を受けているシリーズであり、会社法に次いで家族法のリークエは基本書として評判がいいです。

 家族法の基本書としては、家族法(窪田 充見)などもありますが、本書「民法6 親族・相続 第4版 (LEGAL QUEST)」は淡白に家族法の解説を行っているので、オーソドックスな基本書が欲しいという方におすすめです。



2017年法科大学院全国統一適性試験の受験対策・2016年の感想

法科大学院(LS)入試
03 /12 2017

 2016年に法科大学院入試(LS入試)を受けた人として、2017年以降にLS入試を受ける人に対して、法科大学院全国統一適性試験について受験感想などを語りたいと思います。なお、以下の情報は指摘がないかぎり2016年の情報をもとにしています。最新の情報については、各自で情報収集してください。

法科大学院全国統一適性試験とは

 法科大学院全国統一適性試験(以下、適性試験)とは、法科大学院入試の際に各学校を受験するために必須となる(※1)試験であり、建前上法曹としての能力を測るための試験となっています。試験の内容は、SPIのような論理力などを試すものであり、法律の知識は要求されません。過去問が公式HPに掲載されていますから、そこで、試験の内容を確認することができます。
 重要な点は、この適性試験の得点下位30パーセントについては、各法科大学院の受験をすることができなくなることです。そのため、適性試験の対策をしっかりとして、法科大学院の入試を受ける必要があります。
 なお、例年(2017年/平成29年も)適性試験は年2回開催されますが、受付期間(願書提出期間)が1回目の試験日の前に締め切るので、1回目の受験前に自分が何回受験するかを決定する必要があります。

※1:必須ではない学校があるかもしれませんが、私の知る限り必須です。

適性試験の難易度は?

 人によって得意不得意が激しいので一概に言えません。とはいえ、下位30%を免れることについては、油断せずに対策をすれば誰でもできるレベルです。各法科大学院入試において有利になることを目指している場合(上位30%、200点以上)であれば、人によっては対策をしても達成できないという人もいました。なお、東大LSであれば、公式発表はされていませんが、200点台は必要と考えられています。

過去問検討で得たこと―時間が足りない―

 過去問を時間を計って解いてみると実感できるのですが、悠長に問題を解いていると時間が足りません。そして、必死に問題を解いても時間が足りません。時間のコントロールが非常に難しい試験なので、時間を意識して過去問・予想問題集を解くことをおすすめします。

2016年の適性試験を実際に受けてみて

 私は2回受験しました。1回目は、時間のコントロールに失敗し、全問解くことができず、マークシートに適当にマークしたのが8個程度あったのですが、結果としては200点台を取ることができました。2回目は、時間のコントロールを意識して多少正答率を下げても全問解く意識で試験に臨んだのですが、やはり第2部(2章だったかな?)の問2で時間を取られてしまい、得点があまり伸びませんでした(一応伸びました。)。試験が終わった後で考えると、数問であれば捨て問を作ってもいいので、時間が掛かりそうな問題をスルーする能力を身につけるべきだったかもしれません。

 文章問題については、得意なジャンルであれば時間短縮・得点率上昇がみこめると感じました。また、試験戦略的に100%の正答率を追いかけるよりも、80%の正答率で全問解く方がよいと感じました。

 試験施設の雰囲気ですが、学校の友達と廊下で話している人がいるので、意外と緊張した空気ではありません。少なくとも、高校・大学入試のような緊張感は感じられませんでした。試験が2回あるということで気が緩んでいる人がそれなりにいたようです。なお、法学既習者試験も受験しているのですが、これと同じ雰囲気を私は感じました。

いつから適性試験を勉強すればいいのか

 過去問を解くことは今すぐにでも行うべきです。過去問が自分が得点したいところまで解けたのであれば、試験2週間前(予備試験短答試験日)から再度適性試験の勉強始めるのがベストだと思います。自分が望む得点ができないのであれば、しっかりと計画を立てて対策をすべきでしょう。私は、4月中旬に過去問を解き、予備試験短答試験終了後からしっかりと適性試験の対策をしました。

適性試験を何回受験すべきか

 2回受験できるのであれば、2回受験を選択した方が精神衛生上好ましいです。ただ、下位30%を避けることだけが目標であれば、1回受験でもいいような気がします。


2017年法科大学院全国統一適性試験について

 試験は、2017年6月 4日(日) と 2017年6月18日(日)に実施されます。受験をする人は、受取期間(3月~4月26日頃、第2回試験については3月~5月頃まで。※公式HPでしっかりと確認してください。)をすぎないように気をつけましょう。3月14日から受付を開始しているので、受験が決まっている人は申し込みをしましょう。

◆2017年法科大学院適性試験の関連書籍の紹介






【新法学部生におすすめ】法学セミナー 2017年 04 月号の紹介

基本書
03 /10 2017

 「法学セミナー 2017年 04 月号」では、法学部で勉強する基本的な教科である憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法の入門について、解説がなされています。法律系の雑誌であり、2017年4月に法学部に入学する人や法科大学院に入学する人に特におすすめする雑誌です。

 法律勉強のスタートダッシュのために、ぜひ手にとっていただきたいです。

 出版予定日は2017年3月11日!












タクシー料金(運賃)が法律によって規制されている理由

法律トレビア
03 /02 2017

 タクシー料金(運賃)は、法律によって規制されています。例えば、2017年1月30日に、東京23区で、初乗運賃は1052mまで410円、加算運賃は1052m以後237mごとに80円に引き下げられましたが、これを最終的に承認したのは、国土交通省です。なぜ、タクシーの料金設定に国の関与が必要になり、また、タクシー運転手が自由に料金を決定できないのでしょうか。

 実は、道路運送法9条1項では、「一般乗合旅客自動車運送事業(タクシー事業を含む)を経営する者(…)は、旅客の運賃及び料金(…)の上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。」と規定されているために、運賃を自由に決めることができないのです。

 では、そもそもどうしてこのような規定を置いているのでしょうか。

 最高裁(最判 平成11年7月19日( 集民第193号571頁))は、「一般旅客自動車運送事業の有する公共性ないし公益性にかんがみ、安定した事業経営の確立を図るとともに、利用者に対するサービスの低下を防止することを目的」として規定されているものだと言っています。

 要するに、タクシーは、バスや電車と同様に(同じレベルで公共性があるのかはともかく一定程度)公共性のある乗り物であるから、価格競争によってタクシー運転主、事業者の共倒れを防ぎ、また、不当な価格競争を回避して、タクシー運転手の労働環境や運行上の安全を確保し、利用者の利益を保護することを目的として、タクシーの価格(運賃)決定に国が関与し、国は上記趣旨に反する価格決定を阻止できるとしたのです。

◆まとめ◆
 タクシー料金(運賃)が法律によって規制されている理由は、タクシー運転手やタクシーの利用者のために、法律による規制が行う必要性があるからなのです。





◆最判 平成11年7月19日( 集民第193号571頁)
 1 道路運送法(以下「法」という。)は、「タクシー事業を含む一般旅客自動車運送事業につき、四条ないし七条において、その事業の経営についての免許制を規定するとともに、九条一項において、一般旅客自動車運送事業者は、運賃を定め、又はこれを変更しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならないとし、同条二項において、その認可基準を定めている(なお、一般乗用旅客自動車運送事業に係る運輸大臣の右権限は、法八八条一項一号、道路運送法施行令一条二項により、地方運輸局長に委任されている。)。そして、法九条二項一号は、運賃の設定及び変更の認可基準の一として前記基準を定めているが、その趣旨は、一般旅客自動車運送事業の有する公共性ないし公益性にかんがみ、安定した事業経営の確立を図るとともに、利用者に対するサービスの低下を防止することを目的としたものと解するのが相当である。
 右のような同号の趣旨にかんがみると、運賃の値上げを内容とする運賃変更の認可申請がされた場合において、変更に係る運賃の額が能率的な経営の下における適正な原価を償うことができないときは、たとい右値上げにより一定の利潤を得ることができるとしても、同号の基準に適合しないものと解すべきである。そして、同号の基準は抽象的、概括的なものであり、右基準に適合するか否かは、行政庁の専門技術的な知識経験と公益上の判断を必要とし、ある程度の裁量的要素があることを否定することはできない。
 2 ところで、本件申請がされた当時、タクシー事業の運賃変更の認可について、「一般乗用旅客自動車運送事業の運賃改定要否の検討基準及び運賃原価算定基準について」(昭和四八年七月二六日付け自旅第二七三号自動車局長から各陸運局長あて依命通達。以下「本件通達」という。)が定められており、各地方運輸局においては、本件通達に定められた方式に従った事務処理が行われていた。その概要は、地方運輸局長は、同一運賃を適用する事業区域を定め、当該区域の事業者の中から不適当な者を除外して標準能率事業者を選定し、さらに、標準能率事業者の中からその実績加重平均収支率が標準能率事業者のそれを下回らないように原価計算対象事業者を選定し、右事業者について本件通達別紙(2)の「一般乗用旅客自動車運送事業の運賃原価算定基準」(以下「運賃原価算定基準」という。)に従って適正利潤を含む運賃原価を人件費等の原価要素の分類に従って算定した上、その平均値を基に運賃の値上げ率を算定する(この算定方式を「平均原価方式」という。)、というものである。
 本件通達の定める運賃原価算定基準に示された原価計算の方法は、法九条二項一号の基準に適合するか否かの具体的判断基準として合理性を有するといえる。そして、タクシー事業は運賃原価を構成する要素がほぼ共通と考えられる上、その中でも人件費が原価の相当部分を占めるものであり、また、同じ地域では賃金水準や一般物価水準といった経済情勢はほぼ同じであると考えられるから、当該同一地域内では、同号にいう「能率的な経営の下における適正な原価」は各事業者にとってほぼ同じようなものになると考えられる。したがって、平均原価方式に従って算定された額をもって当該同一地域内のタクシー事業者に対する運賃の設定又は変更の認可の基準とし、右の額を変更後の運賃の額とする運賃変更の認可申請については、特段の事情のない限り同号の基準に適合しているものと判断することも、地方運輸局長の前記裁量権の行使として是認し得るところである。もっとも、タクシー事業者が平均原価方式により算定された額と異なる運賃額を内容とする運賃の設定又は変更の認可申請をし、右運賃額が同号の基準に適合することを明らかにするため道路運送法施行規則(平成七年運輸省令第一四号による改正前のもの)一〇条二項所定の原価計算書その他運賃の額の算出の基礎を記載した書類を提出した場合には、地方運輸局長は、当該申請について法九条二項一号の基準に適合しているか否かを右提出書類に基づいて個別に審査判断すべきであることはいうまでもない。
 3 前記事実関係等によれば、被上告人らの本件申請に係る運賃の額は、本件申請の直前に近畿運輸局長が同業他社に対してした認可に係る運賃の額(右運賃の額は本件通達の定める平均原価方式に従って算定されたものと推認される。)を下回るものであったが、同局長は、本件申請に係る運賃の額が右認可に係る運賃の額に達しないものであることのみを理由として直ちに本件却下決定をしたのではなく、本件申請に対する許否の判断に当たり、被上告人らの提出する原価計算書その他の書類に基づき、本件申請に係る運賃の変更が法九条二項一号の基準に適合するか否かを運賃原価算定基準に準拠して個別に審査しようとしたものと解される。前示のとおり、運賃原価算定基準に示された原価計算の方法は、同号の基準に適合するか否かの具体的判断基準として、合理性を有するものであるから、同局長において本件申請に係る運賃の変更が同号の基準に適合するか否かを運賃原価算定基準に準拠して個別に審査しようとしたことは、相当な措置であったというべきである。しかるに、前記事実関係等によれば、同局長が右審査のために被上告人らに対して右原価計算書に記載された原価計算の算定根拠等について説明を求めたにもかかわらず、被上告人らは、運賃変更の理由は消費税の転嫁である旨の陳述をしたのみで、右原価計算の算定根拠等を明らかにしなかったというのであるから、同局長において被上告人らの提出した書類によっては被上告人らの採用した原価計算の合理性について審査判断することができなかったものということができる。そうであるとすれば、【要旨】本件申請について、同号の基準に適合するか否かを判断するに足りるだけの資料の提出がないとして、本件却下決定をした同局長の判断に、その裁量権を逸脱し、又はこれを濫用した違法はないというべきである。
 四 以上によれば、原審の前記判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。論旨は理由があり、原判決は、その余の点について判断するまでもなく、破棄を免れない。そして、前示のとおり、被上告人らの本件損害賠償請求は、本件却下決定が違法であり、近畿運輸局長は本件申請を認可すべきであったことを前提とするものであるから、右請求はいずれも理由がないことに帰する。」(http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62781から、一部引用)。

Law Practice 民法 第3版の発売!

基本書
03 /02 2017



 民法演習書として有名なLaw Practice 民法の最新第3版が発売されました。今回発売されたのは、総則物権編と債権編です。なお、Law Practice 民法III【親族・相続編】 (Law Practiceシリーズ)は、2015年10月に発売されています。

 Law Practiceは科目によっては4人の教授のみで書かれていることもありますが、Law Practice民法は、判例百選と同様にそれぞれの単元ごとに異なる教授によって執筆されています(第2版による。最新版については、未確認。)。内容は、民法の論文問題の設定、当該問題の参考判例の提示とその解説です。

 学者の演習本にありがちなことですが、解答例が載っていないのが残念なところです。しかし、学者の自説の押し付けや予備校の不完全な解説などによる弊害が極めて少ないことが、本書「Law Practice 民法」シリーズの魅力です。(沢山の学者が関わっているので、尖がった自説を押し出すことができないのでしょう。)

 また、沢山の民法学者が関わっているために、司法試験、予備試験の試験委員も無視できない演習本になっていると思われる(H27予備試験民法参照)ので、司法試験・予備試験受験生におすすめできる民法 演習本です。




水刀

2017年4月、LSに入学しました。