2016年10月 - ほのぼのと司法試験に挑戦

【会社法 訴えの利益】役員の解任選任を内容とする株主総会決議不存在確認の訴えの係属中に破産手続開始の決定を受けた場合における訴えの利益

会社法
10 /31 2016

 最判平成21年4月17日が判示した「株式会社役員の解任・選任を内容とする株主総会決議不存在確認の訴えの係属中に当該会社が破産手続開始の決定を受けた場合の訴えの利益の消長」についての備忘録である。

 判例は、「民法653条は,委任者が破産手続開始の決定を受けたことを委任の終了事由として規定するが,これは,破産手続開始により委任者が自らすることができなくなった財産の管理又は処分に関する行為は,受任者もまたこれをすることができないため,委任者の財産に関する行為を内容とする通常の委任は目的を達し得ず終了することによるものと解される。会社が破産手続開始の決定を受けた場合,破産財団についての管理処分権限は破産管財人に帰属するが,役員の選任又は解任のような破産財団に関する管理処分権限と無関係な会社組織に係る行為等は,破産管財人の権限に属するものではなく,破産者たる会社が自ら行うことができるというべきである。そうすると,同条の趣旨に照らし,会社につき破産手続開始の決定がされても直ちには会社と取締役又は監査役との委任関係は終了するものではないから,破産手続開始当時の取締役らは,破産手続開始によりその地位を当然には失わず,会社組織に係る行為等については取締役らとしての権限を行使し得ると解するのが相当である。…(改行)したがって,株式会社の取締役又は監査役の解任又は選任を内容とする株主総会決議不存在確認の訴えの係属中に当該株式会社が破産手続開始の決定を受けても,上記訴訟についての訴えの利益は当然には消滅しない…。」(同判例から)と判示した。

 破産法を勉強していない人には、色々とつらい部分があるが、要するに、民法653条柱書きでは、「委任は、次に掲げる事由によって終了する。」とされ、同2号で、「委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。」と規定されるから、当該株式会社が破産したら、会社と役員との委任契約は直ちに終了するのであり、本件訴訟で勝訴したとしても、役員たる地位に復活する余地はないから、役員の地位に関する総会決議の取消の訴えは訴えの利益が消滅するのではないかという問題である。

 これについて、判例は、

 同条は、委任者が破産した場合には、委任者が破産により行うことができなくなる行為について受任者もまたできなくなるのだから、委任は目的を達成することができず終了することを示したものである。したがって、役員の選任又は解任のような破産財団に関する管理処分権限と無関係な会社組織に係る行為等は、破産者たる会社が自ら行うことができ、会社につき破産手続開始の決定がされても直ちには会社と取締役又は監査役との委任関係は終了するものではない。

 したがって、会社組織に係る行為等については役員としての権限を行使し得るのであり、本件訴訟で勝訴すれば、役員たる地位に復活するのであるから、訴えの利益が認められる。

 という旨の判示をした。

 覚えるべき点は、当該株式会社が破産手続開始の決定を受けても、会社と取締役又は監査役との委任関係は終了するものではないこと。それと、訴えの利益が消滅しないことである。


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同判決の判決文(裁判所公式サイト)
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【民法504条】担保保存義務免除特約とは

民法
10 /30 2016

 担保保存義務免除特約を勉強したので、同特約とそれに関連した論点について記事を書こうと思う。備忘録である。

 民法504条では、「第500条の規定により代位をすることができる者がある場合において、債権者が故意又は過失によってその担保を喪失し、又は減少させたときは、その代位をすることができる者は、その喪失又は減少によって償還を受けることができなくなった限度において、その責任を免れる。」と規定される。

 したがって、債権者は、保証人に履行を請求することを考えるならば、担保を喪失、減少させることができないことになり、この事実上の効果から、同条が担保保存義務を課していると考えることができる。

 とはいえ、担保保存義務をそのまま金融機関が受け入れてしまうと、融通が利かなくなってしまうため、約款にこの担保保存義務を免除する特約を付けている。

 すなわち、担保保存義務免除特約とは、任意規定である民法504条の適用を排除する特約のことである。

 (1)まず、このような特約が法律上許されるのだろうか。

 判例(最判平成7年6月23日)は、「債務の保証人、物上保証人等、弁済をするについて正当な利益を有する者(以下「保証人等」という。)が、債権者との間で、あらかじめ民法五〇四条に規定する債権者の担保保存義務を免除し、同条による免責の利益を放棄する旨を定める特約は、原則として有効であるが(最高裁昭和四七年(オ)第五五五号同四八年三月一日第一小法廷判決・裁判集民事一〇八号二七五頁参照)、債権者がこの特約の効力を主張することが信義別に反し、又は権利の濫用に当たるものとして許されない場合のあり得ることはいうまでもない。しかしながら、当該保証等の契約及び特約が締結された時の事情、その後の債権者と債務者との取引の経緯、債権者が担保を喪失し、又は減少させる行為をした時の状況等を総合して、債権者の右行為が、金融取引上の通念から見て合理性を有し、保証人等が特約の文言にかかわらず正当に有し、又は有し得べき代位の期待を奪うものとはいえないとき、他に特段の事情がない限り、債権者が右特約の効力を主張することは、信義則に反するものではなく、また、権利の濫用に当たるものでもないというべきである。」という判断基準を示し、基本的に許されるとしている。

 (2)では、免責がなされなかった、すなわち同条の適用がなかった場合に、対象不動産が譲渡された場合、譲受人は担保保存義務免除特約を締結していないのだから、同約款の効果が及ばず、同条の免責の効果を主張できないか。

 これについて上記判例は、「 債権者が担保を喪失し、又は減少させた後に、物上保証人として代位の正当な利益を有していた者から担保物件を譲り受けた者も、民法五〇四条による免責の効果を主張することができるのが原則である(最高裁昭和六一年(オ)第一一九四号平成三年九月三日第三小法廷判決・民集四五巻七号一一二一頁参照)。しかし、債権者と物上保証人との間に本件特約のような担保保存義務免除の特約があるため、債権者が担保を喪失し、又は減少させた時に、右特約の効力により民法五〇四条による免責の効果が生じなかった場合は、担保物件の第三取得者への譲渡によって改めて免責の効果が生ずることはないから、第三取得者は、免責の効果が生じていない状態の担保の負担がある物件を取得したことになり、債権者に対し、民法五〇四条による免責の効果を主張することはできないと解するのが相当である。」と判示している。

 短答のために覚えておいて損ではないところであろうから、備忘録もかねて、記事にしました。以上

28日の勉強雑感 (「懈怠」の呼び方は何なんだ?)

日記、雑談
10 /29 2016

 会社法の任務懈怠責任を復習しました。

 ところで、「懈怠」って、なんて読みますか?
 かいたい、けたい、けだい、げたい etc…

 論文試験では、漢字で「懈怠」と書けばいいので、そこまで不便はないのですが、法律的な教養がないと周りに言われたくないので、できれば通説的な(?)呼び方をしたいです。
 メジャーな呼び方としては、「かいたい」「けたい」の2つですが、皆さんはどのように読んでいるのか、気になるところです。



 また、会社法基本書についてのアンケートにも、できれば答えていただけると嬉しいです。



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法学教室 2016年 11 月号発売

基本書
10 /28 2016

 2016年10月28日に、法学教室の最新11月号が出版されました。

 法学教室は、法学部生、法科大学院生向けの法律雑誌として有斐閣から出版されている法律系の雑誌です。この法学教室の連載記事をネタにして基本書が出版されることもあります。たとえば、酒巻先生の刑事訴訟法や、窪田先生の家族法です。

 今月号は、特集として、条文にない民訴法の原則・理論の記事が組まれています。 他にも、刑訴法改正についての酒巻匡先生の解説や、判例セレクトで、忘れられる権利に関する高裁決定(東京高決平成28年7月12日)などの解説がなされているなど、読みたい記事が多いです。

 民事訴訟法の原則に不安を覚える人にお勧めの11月号です。

-関連記事-
(内部記事)
酒巻先生の刑事訴訟法の紹介 (感想 評価)
窪田先生の家族法の紹介 (感想 評価)
(外部サイト)
法学教室 2016年 11 月号 [雑誌]

使わなくなった教科書等の処分について

法学部
10 /28 2016

 大学で勉強していると使わなくなる専門書が出てきます。

 興味がないけれど単位のために取った教養科目の教科書、古くなった六法、択一問題集、合格した行政書士、司法書士試験対策の参考書など、使わずに放置されている本は、多いです。できれば、どこかに売ってしまいたいと考える人は多いと思います。このような専門書の買取に特化した会社がありますので、大手のみならず色々なサイトを見ていただきたいです。

 私がお勧めするのは、大学教科書・専門書・医学書の買取サイト「専門書アカデミー」です。

 法律書を含めて最低買取価格を定めている本が多数存在し、売却する本が多ければ送料が無料になる等の多彩なキャンペーンがあります。ぜひ、公式HPでご確認ください。

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【時事】ながら運転での事故においてスマホゲームタイトルを記事全面に出すことの是非

時事ネタ
10 /28 2016

 10月26日に愛知県で、トラックにはねられ小学生が轢死した事件において、トラックの運転手がポケモンGOで遊びながら運転をしていたことが分かり、各種報道機関によって報道がなされている。この報道記事において、「運転中ポケモンGOをしていた」旨の記述が多くなされ、記事の見出しにはほぼ必ず「ポケモンGO」という単語が入っているのである。

 ここで問題としたいのは、ポケモンGOへの無意味な風評被害を発生させるこのような記事が許されるのかという点である。換言すれば、「スマホゲームで死亡事故」というタイトルであっても、報道として十分な記事が書けるのに、ポケモンGOという名称を記事のタイトル・内容として紹介することが必要であるのか。ということである。

 各種マスコミとしては、視聴率(web記事であれば注目率といってもいいだろう)を稼ぐために、なるべく注目の集まる事件について報道をするという姿勢がある。そのため、年間1500件存在する携帯電話が原因とする交通事故すべてを報道することはなく、事件の被害が甚大などの珍しい事故でなければ報道がなされないのである。(これは、報道時間、報道紙面が限られていることから、致し方ないところもある。少年事件における残忍な事件が殊更に報道されるのと同様である。)

 そして、本件において、ポケモンGOという属性が非常に読者の目を引くために、大々的に「ポケモンGO」による事故として、報道がなされているのである。

 死亡事故の原因を「ポケモンGO」とすることは事実関係として間違いということはできない。さらに、加害者がポケモンGOをしていた旨の供述があることから「ポケモンGO」という単語が出てきてしまうことは、ある種当然ということができるかもしれない。


 しかし、事件の本質としては、スマホ操作よるながら運転が問題なのであり、それが事故の原因であるから、殊更にポケモンGOが~という報道するのは、いかがなものなのか。


 各種報道を読んでいると、ポケモンGOが原因となって事故が生じたことを強調し、事件の本質である「ながら運転」の危険性への指摘は皆無であると感じる。ただ、ポケモンGOによって注目を集める記事を書いているだけであり、私には、報道者としての使命感や矜持というものを、感じ取ることはできなかった。

 言い換えれば、本質的に重要でない「ポケモンGO」であるけれど、「ポケモンGO」が関わった事件は皆の注目を集めるから記事にしたというものを感じるのである。

 皆さんは、どのように感じただろうか。


刑事訴訟法 酒巻匡の紹介(評価、感想)

基本書
10 /27 2016

 酒巻 匡先生が書いた刑事訴訟法の基本書の紹介(評価 感想)です。

 元ネタが法学教室で出版されたもので、それを加筆修正して出版したものです。法学教室での伝聞の説明が非常に分かりやすく、法学教室の当該部分をコピーして受験生のほとんどが持っていたという時代もあったため、教科書発売に際してはものすごい期待された本です。

 いざ出版されてみると、思ったほど高い評価を得ることができませんでした。おそらく、期待が高かった分、些細な不満を大きく捉えている人が多いからでしょう。例えば、自白法則の根拠について、~説という形で表記せず、自説を述べるに留まっていることについて、マイナスの評価がなされることがあります。そのため、最初の刑事訴訟法の教科書として、オススメしづらいことは確かです。

 しかし、法学教室の当該記事を読んでいない私にとっては、出会えてよかったと言える基本書です。伝聞の解説は分かりやすいの一言に尽きます。元々法学教室を読んでいない人であれば、伝聞のためだけにこの本を買うメリットがあります。現在合格者の答案を見てみると、酒巻先生の記述に影響を受けている人が非常に多いことからも、この本の重要性が見て取れます。

 実は、強制処分についての論証においても、他の基本書と比較すると非常に濃くこの点について解説がなされているため、強制処分の記事を書くに際して、非常に参考になりました。

 司法試験の重要な部分について―例えば、上述のように、伝聞、強制処分等について―、他の本にない分かりやすい唯一無二の解説がなされているため、この酒巻 刑事訴訟法は必ず読むべき基本書となっています。ぜひ、読んでみてください。

-関連記事-
強制処分の論証
強制処分に関する判例一覧
刑事訴訟法(酒巻 匡) (amazon公式サイト 刑事訴訟法(酒巻 匡) )
刑事訴訟法講義 第5版 池田修 前田雅英 の紹介 (感想 評価)



 

 

ハイキュー!! OP 「ヒカリアレ」の紹介 (感想)

音楽
10 /26 2016

 ハイキュー!! 3期 OP である 「ヒカリアレ」の紹介です。

 100万回再生された公式PVは、 こちらから。(外部YouTubeサイト)

 ハイキュー3期は、決勝戦(烏野高校 VS 白鳥沢学園高校)がメインテーマになっています。
 これまでのハイキューのOP曲は、烏野バレー部の勢いそのままに曲にしたイメージでしたが、この「ヒカリアレ」は、勢いだけではなく、決勝戦の格調高さをしっかりと表現しています。カラスだけでなく白鳥が加わったイメージともいえますね。


 「一寸先の絶望へ 二寸先の栄光を信じて」 (ヒカリアレ 歌詞から引用)

 我々受験生にとって、噛み締めるべき歌詞ですね。
 自分が合格することができるのかという不安を抱えながら過ごす我々に必要な言葉です。

 二寸先の司法試験合格を信じて、頑張ります。


 初回生産限定アニメ盤のジャケットは、影山からの止まるトスを日向がスパイクするシーンを描いたもので、ものすごくかっこいいです。早期購入特典が付いていますから、購入はお早めに。

リンク、引用、評論について

当ブログ運営について(運営方針)
10 /26 2016

【1】リンクについて

 当サイトの全ての記事について、リンクは自由に行ってもらって構いません。
 もちろん、許可を求める必要はありません。

 できれば、リンクをつけたとき、当該記事のコメント欄に、引用したサイトの名前と引用した旨のコメントをいただけるとサイト運営の励みになりますので、知らせていただけると嬉しいです。(引用したサイトのURLは記載しないでください。)
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 *記事の全てのコピー等は、引用にあたらず、著作権違反となります。(全ての記事のコピーでなければ、引用として許されるという意味ではありません。10パーセントの引用であっても、著作権違反となる場合があります。)。気になる場合は、当該記事で、コメントをしてください。

 また、引用においては、当サイトから引用したことを明記してください。インターネット上での引用であれば、URLを必ずつけて引用してください。

 引用サイト(すなわち当サイトの名前)、記事のタイトル、URL、引用した日時を、明記していただくようお願いします。

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 記事についての感想、評論、ダメだし等を禁止しているサイトも多いですが、現状(2016年10月21日現在、改定をした場合には、この記事の内容を変更します。)においては、自由に行ってもらって構いません。

 ただし、評論に際しては、引用のルールと同様に、引用サイト(すなわち当サイトの名前)、記事のタイトル、URL、引用した日時を、明記していただくようお願いします。

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以上

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家族法 - 民法を学ぶ 第3版(窪田充見)の紹介(感想 評価)

基本書
10 /25 2016

 以下、「家族法 - 民法を学ぶ 第2版」についての感想です。
 「家族法 - 民法を学ぶ 第3版」については、追って情報を追加します。

 窪田充見先生の家族法の基本書は、家族法を使った大喜利といった感想が一番しっくりきます。

 家族法について講義調に解説がなされ、その解説も大喜利を加えた面白い(interestingではなくfun)ものなので、家族法の講義を聴きているような感覚になります。もちろん、学問的な面白さ(interesting)も十分に感じられます(若干高度なものが含まれ、学問的な難しさに潰されかけることがある…が、大喜利によるfunによって読者が読み進めることができるため、あまり気にならない。)。そのため、最初の家族法教科書の選択肢の一つといえるでしょう。

 欠点として、講義調で解説がなされている関係上、再度基本書を見返す際に、解説が悠長に感じることがあるところですね。

 しかし、マーカー等で重要なところを見返せるように使えば基本書を読み返す時間を節約できるうえ、612頁という家族法の基本書としては比較的長いページ数を使い、判例の引用を含めて情報量多く説明がなされているため、司法試験に合格まで使える基本書といえるので、持っておいて損ではありません。

 窪田充見先生の家族法の基本書は、家族法について大喜利を加えながら解説することにより、飽きさせずに法律書を読むことができるという点において、他の書籍と決定的に区別できる唯一の本です。そのため、法学部、法科大学院未修者の入学前に、法律に抵抗感を感じることなく、ある種読書として読むことができる教科書として、お勧めします。

 法律書として唯一無二の本であり、一度は家族法(窪田充見)に触れてほしいです。

(2016年10月27日及び11月11日に編集)
(2017年5月3日に編集)

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基本講義 債権各論 (潮見)の紹介
入門民法(全) 潮見 の紹介

水刀

2017年4月、LSに入学しました。