刑法 - ほのぼのと司法試験に挑戦

最決 平成15年12月9日【詐欺罪】

刑法
02 /21 2017

 詐欺罪に関する三角詐欺、同一法益の二重評価についての最高裁決定平成15年12月9日(刑集第57巻11号1088頁)を紹介します。

 事例は判決に書かれていますが、簡単にいえば、店を経営する詐欺師が、被害者(クレジットカードを持っている者)を騙し商品売買契約を仮装して、クレジット会社に商品代を請求した場合において、クレジットカードを持っている者に対する詐欺罪が成立するのかが争われた事案です。クレジット会社に対して詐欺罪が成立するとも思えるので、これが同一法益の二重評価にならないか、また、一種の三角詐欺をどのように処理するのかについて参考になる判例だと思います。

 1 原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,本件に関する事実関係は,次のとおりである。
 (1) 被告人は,他の1名と共謀の上,病気などの悩みを抱えている被害者らに対し,真実は,被害者らの病気などの原因がいわゆる霊障などではなく,「釜焚き」と称する儀式には直接かつ確実に病気などを治癒させる効果がないにもかかわらず,病気などの原因が霊障であり,釜焚きの儀式には上記の効果があるかのように装い,虚偽の事実を申し向けてその旨誤信させ,釜焚き料名下に金員を要求した。
 (2) そして,被告人らは,釜焚き料を直ちに支払うことができない被害者らに対し,被害者らが被告人らの経営する薬局から商品を購入したように仮装し,その購入代金につき信販業者とクレジット契約(立替払契約)を締結し,これに基づいて信販業者に立替払をさせる方法により,釜焚き料を支払うように勧めた。これに応じた被害者らが上記薬局からの商品売買を仮装の上クレジット契約を締結し,これに基づいて信販業者が被告人らの管理する普通預金口座へ代金相当額を振込送金した。
 2 【要旨】以上の事実関係の下では,被告人らは,被害者らを欺き,釜焚き料名下に金員をだまし取るため,被害者らに上記クレジット契約に基づき信販業者をして立替払をさせて金員を交付させたものと認めるのが相当である。
 この場合,被告人ら及び被害者らが商品売買を仮装して信販業者をして立替金を交付させた行為が信販業者に対する別個の詐欺罪を構成するか否かは,本件詐欺罪の成否を左右するものではない。
 したがって,被告人に対し本件詐欺罪の成立を認めた原判断は,正当である。(以上、最決 平成15年12月9日を一部引用)




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犯人蔵匿等の罪、証拠隠滅等の罪及び証人等威迫の罪の法定刑の引上げ

刑法
02 /13 2017

 平成二八年六月三日の刑法改正によって、犯人蔵匿等の罪、証拠隠滅等の罪及び証人等威迫の罪の法定刑が引き上げられた。未だ施行されていない刑事訴訟法の「合意制度」に備える意味も込めて、もともと法定刑が低いと指摘されていた上記犯罪類型について、法定刑を引き上げたのである。

【1】刑法103条、犯人隠匿等の罪
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
 以前は、「二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」だったのが、若干引き上げられています。

【2】刑法104条、証拠隠滅等の罪
他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
 こちらも、以前は、「二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」だったのが、若干引き上げられています。

【3】刑法105条の2、証人等威迫の罪
自己若しくは他人の刑事事件の捜査若しくは審判に必要な知識を有すると認められる者又はその親族に対し、当該事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請し、又は強談威迫の行為をした者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
 以前は、「一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」だったのが、若干引き上げられています。なお、「の2」という枝番号についての解説は、「柱書とは、枝番号とは 」を参照ください。


 これらの試験対策上の重要性も上がると思われるので、紹介します。


刑法の条文にある 寡額とは?

刑法
10 /22 2016

 刑法において、自由刑における処断刑の上限、下限は、「長期」・「短期」で表現される。
 では、罰金は、どのように表現されるのだろうか。日数ではなく金額が問題となるので、長期、短期が適当でないことは明きらかである。

 罰金の処断刑の上限・下限は、「多額」、「寡額」(かがく)と表現される。条文上では、刑法68条4号で「罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の二分の一を減ずる。」と使われている。

 寡額という表現は、おそらく刑法以外では使わないので、短答のために、頭の片隅に忘れずに覚えておきたい。寡額の対義語である「多額」も、忘れてしまいがちな表現であるので、これもまた忘れないようにしなければ…。



 今日の勉強において、「寡額」が読めなかったので、それを調べたついでに、記事(備忘録)としておく。皆さんは、「寡額」が初見で読めただろうか。気になるところです。



水刀

2017年4月、LSに入学しました。