法科大学院(LS)入試 - ほのぼのと司法試験に挑戦

2017年法科大学院全国統一適性試験の受験対策・2016年の感想

法科大学院(LS)入試
03 /12 2017

 2016年に法科大学院入試(LS入試)を受けた人として、2017年以降にLS入試を受ける人に対して、法科大学院全国統一適性試験について受験感想などを語りたいと思います。なお、以下の情報は指摘がないかぎり2016年の情報をもとにしています。最新の情報については、各自で情報収集してください。

法科大学院全国統一適性試験とは

 法科大学院全国統一適性試験(以下、適性試験)とは、法科大学院入試の際に各学校を受験するために必須となる(※1)試験であり、建前上法曹としての能力を測るための試験となっています。試験の内容は、SPIのような論理力などを試すものであり、法律の知識は要求されません。過去問が公式HPに掲載されていますから、そこで、試験の内容を確認することができます。
 重要な点は、この適性試験の得点下位30パーセントについては、各法科大学院の受験をすることができなくなることです。そのため、適性試験の対策をしっかりとして、法科大学院の入試を受ける必要があります。
 なお、例年(2017年/平成29年も)適性試験は年2回開催されますが、受付期間(願書提出期間)が1回目の試験日の前に締め切るので、1回目の受験前に自分が何回受験するかを決定する必要があります。

※1:必須ではない学校があるかもしれませんが、私の知る限り必須です。

適性試験の難易度は?

 人によって得意不得意が激しいので一概に言えません。とはいえ、下位30%を免れることについては、油断せずに対策をすれば誰でもできるレベルです。各法科大学院入試において有利になることを目指している場合(上位30%、200点以上)であれば、人によっては対策をしても達成できないという人もいました。なお、東大LSであれば、公式発表はされていませんが、200点台は必要と考えられています。

過去問検討で得たこと―時間が足りない―

 過去問を時間を計って解いてみると実感できるのですが、悠長に問題を解いていると時間が足りません。そして、必死に問題を解いても時間が足りません。時間のコントロールが非常に難しい試験なので、時間を意識して過去問・予想問題集を解くことをおすすめします。

2016年の適性試験を実際に受けてみて

 私は2回受験しました。1回目は、時間のコントロールに失敗し、全問解くことができず、マークシートに適当にマークしたのが8個程度あったのですが、結果としては200点台を取ることができました。2回目は、時間のコントロールを意識して多少正答率を下げても全問解く意識で試験に臨んだのですが、やはり第2部(2章だったかな?)の問2で時間を取られてしまい、得点があまり伸びませんでした(一応伸びました。)。試験が終わった後で考えると、数問であれば捨て問を作ってもいいので、時間が掛かりそうな問題をスルーする能力を身につけるべきだったかもしれません。

 文章問題については、得意なジャンルであれば時間短縮・得点率上昇がみこめると感じました。また、試験戦略的に100%の正答率を追いかけるよりも、80%の正答率で全問解く方がよいと感じました。

 試験施設の雰囲気ですが、学校の友達と廊下で話している人がいるので、意外と緊張した空気ではありません。少なくとも、高校・大学入試のような緊張感は感じられませんでした。試験が2回あるということで気が緩んでいる人がそれなりにいたようです。なお、法学既習者試験も受験しているのですが、これと同じ雰囲気を私は感じました。

いつから適性試験を勉強すればいいのか

 過去問を解くことは今すぐにでも行うべきです。過去問が自分が得点したいところまで解けたのであれば、試験2週間前(予備試験短答試験日)から再度適性試験の勉強始めるのがベストだと思います。自分が望む得点ができないのであれば、しっかりと計画を立てて対策をすべきでしょう。私は、4月中旬に過去問を解き、予備試験短答試験終了後からしっかりと適性試験の対策をしました。

適性試験を何回受験すべきか

 2回受験できるのであれば、2回受験を選択した方が精神衛生上好ましいです。ただ、下位30%を避けることだけが目標であれば、1回受験でもいいような気がします。


2017年法科大学院全国統一適性試験について

 試験は、2017年6月 4日(日) と 2017年6月18日(日)に実施されます。受験をする人は、受取期間(3月~4月26日頃、第2回試験については3月~5月頃まで。※公式HPでしっかりと確認してください。)をすぎないように気をつけましょう。3月14日から受付を開始しているので、受験が決まっている人は申し込みをしましょう。

◆2017年法科大学院適性試験の関連書籍の紹介






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2016(平成28)年東京大学ロースクール 受験感想

法科大学院(LS)入試
11 /20 2016


 2016(平成28)年11月20日東京大学法科大学院(以下、東大LS)の受験をしてきました。その感想です。以下、平成28年度の受験体験になりますので、今度変更になる可能性があります。受験の際には、当該年度の資料をご確認ください。

 当日の受験場の天気は、雨でしたので、非常に寒かったです。電車も混んでいて化粧水の塊のような人もいたので大変でした。

 私が受験したのは、既習者試験です。未修者試験と同日開催ですので、どちらかしか受験できません。出願の地点でどちらを受験するか決定する必要があります。

 試験は、民事系(民法、商法、民事訴訟法)、刑事系(刑法、刑事訴訟法)、公法系(憲法、行政法)で分けられ、3教科それぞれ70分の試験時間となっています。全て論文形式で六法が貸与されます。貸与されたのは、ポケット六法 平成29年版です。試験は、この順番で行われましたが、毎年受験科目の順番は変更になっているような気がします。

 論文解答用紙は、1枚配られ、1行30マスで表面40行、裏面40行です。解答用紙は1枚で、民事系でいえば民法、商法、民事訴訟法のすべての解答をします。油断していると、解答用紙が足りなくなるので、その点を考慮する必要があります。特に、刑法について、細分化して答案を書く癖がある人は、注意が必要です。

 下書き用紙なるものが配られましたが、私は使っていませんし、使う暇なないでしょう。下書き用紙は回収しないので、メモ用紙や図を描くために使用してもいいでしょう。とはいえ、問題冊子に十分な余白があるので、私は、下書き用紙を全く使いませんでした。

 特に民事系は、1教科を20分強で解く必要があるので、時間管理が非常にシビアです。また、過去には手形法も出題されたことがあるらしいので、民事系は鬼門となっています。ただ、今年はそこまで時間的に難しいと感じませんでした。今年の内容は、物権、合併、二重起訴禁止です。

 今年の刑事系は、自招侵害と誤想過剰防衛を組み合わせた刑法と、刑事訴訟法328条の問題で、刑事訴訟法判例百選 第9版のNO.90事件と関連した刑訴の問題でした。

 今年の公法は、地方自治について広く問う問題で、受験生は面食らっていたと思います。今年は、憲法、行政法とはっきりと区別できる問題ではなかったと思います。

 なお、東大の過去問はHP等で公開されず、過去問を販売しているので、いまのところ、これ以上問題について詳しく書くつもりはありません。憲法については、著作権性が肯定しづらいですが、それも含めて。


 他の受験生についてきょろきょろと観察すると、試験前、伊藤塾の論文ナビゲートテキスト(私は持っていないので、正式な呼び名は知りませんが、おそらく正しいと思います。)や、辰巳の趣旨・規範ハンドブック を見ている人が多かったです。意外だったのは、判例百選を試験前に読んでいる人がぼちぼちいたことですね。周りの人が使っているペンは、大抵の人がジェットストリーム でした。


 訴訟法については、後悔が残る試験でした。落ちるとしたら、ここが致命傷になっていると思います。公法は、ほとんどの受験生ができていなかったと思うので、ここでは差が付かないでしょう。ただ、他の受験生次第では、差をつけることができる問題だったので、できれば加点が欲しいです。住民自治、団体自治に触れたことがどこまで評価されるのかが、勝敗を分けると思います。

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2016年慶應法科大学院(LS)受験について その3(民事訴訟法、刑事訴訟法)

法科大学院(LS)入試
09 /27 2016
2016年慶應法科大学院(LS)受験について その2(民法、商法) の続きです。

(5)民事訴訟法
ア、問1
 出題を要約すると、Xが、Yに対して、賃貸借契約の終了に基づく建物明渡訴訟を提起した。この訴訟で、Xが、200万円の立退料の支払いと引き換えに当該建物を明け渡すことを求めたが、裁判所は、立退料150万円での引換給付判決をすることが許されるのか。というものです。
 借地借家法28条の「建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合」に関する問題で、正直何を書いたらいいのか分かりませんでした。主文に書かれていることなので、処分権主義の問題なのか。それとも、自白の拘束力の問題なのか(敷衍して、権利自白の問題なのかまで考えました。)、色々と考えて、時間がない試験なので、いずれにしても不意打ちになる可能性があるから問題となる。というような問題定義から書き始め(三段論法を放棄しました。)、不意打ちになる理由と、無難だと思った立退料が主文に書かれる事柄だから、処分権主義の問題であるとして、Yの不意打ちになり違法であるという答案を書きました。
 後から知ったのですが、判例がある問題で、最高裁判例昭和46年11月25日(原告が立退料を300万円を示し、500万円の判決をした事例)によると、処分権主義の領域になるが、非訴的なものであるから処分権主義には違反しないという判断をしています。(確かに、裁判所が柔軟な判断をする必要性から、この結論が落ち着きますね…)。
 最近基本書を変えたのですが、今の基本書である民事訴訟法講義案に、書かれていたことなので、判例の見解に触れることができなかったのは、残念です。

◆追記、色々な基本書等を参照してみたところ、最判S46・11・25は、民事訴訟法判例百選(75事件)に記載されている判例でした。学説が対立している状況のようです。

 まず、百選及び基本書を読んでいると、やはり処分権主義の問題と捉えることが一般的なようです。借地借家法28条が「申出をした場合」としていることから、原告は立退料について処分権限を有するため、原告が示していない立退料について裁判することは処分権主義に抵触するというものです。(ただ、弁論主義も絡んでくるような記述もありました。)。

(α)民事訴訟法 伊藤 眞によると、原告は200万円までの立退料については、訴訟の対象として示していないのだから、150万円の立退き料によって引換給付判決を行うことは、訴訟の対象でない部分について判決することになるので、処分権主義に違反するといった旨が書かれていました。この立場によると、S46判決は、原告の請求の一部認容できるから許されるということになります。

(β)民事訴訟法講義案によると、非訴的な性格であるから、裁判所は原告の示した対象に縛られずに裁判できるということでした。

(γ)他にも、原告として想定できる合理的な立退料であれば、原告の意思に反しないから、立退料の削減も合理的な部分で許されるという見解もあったと思います。新民事訴訟法 新堂先生は、このような立場だと思います。

(δ)民事訴訟法 第2版 (LEGAL QUEST)は、否定説、肯定説を述べて解説をしています。

イ、問2
 出題を要約すると、Xが、Yに対して、目的物の建て直しのために、賃貸借契約の終了に基づく建物明渡訴訟を提起した後、Yが当該建物は自分のものだと主張したとき、Xの訴訟上のとりうる手段は何か。というものです。
 使用方法に違反しているとして債務不履行があるという新たな主張を行うために、「請求の原因」を変更すること(訴えの変更、143条)。さらに、所有権に基づく明け渡し請求を行うこととして、訴えの追加的変更(143条、136条)を書きました。
 この辺は、少し自信がありません。復習します。

(6)刑事訴訟法
 現行犯逮捕について、その要件を、令状主義の趣旨、及び、現行犯逮捕が令状主義の例外であることを踏まえて論じ、事例問題について現行犯逮捕が適法であるかを問う問題です。
 オーソドックスな問題でしたが、司法試験に近い問題で、一番癖がない問題でした。

 以上で、慶應LSの入試、受験感想を終わります。

2016年慶應法科大学院(LS)受験について その2(民法、商法)

法科大学院(LS)入試
09 /26 2016
 2016年慶應法科大学院(LS)受験についての続きです。

 問題文をうまく要約して説明することができないのが、私が特に民法、商法について未熟であることを示しているのだと思います。論点と感想のみ記載します。

(3)民法
 問題が非常にややこしいので、割愛させていただきますが、論点は、抵当権による物上代位の対象が譲渡されたときの処理と、抵当権による物上代位と相殺の優劣でした。
 事案を理解することにも時間を使う問題でしたので、非常に大変でした。大抵の人が時間に追われたと思います。私は、民法で時間を使いすぎたので、商法(会社法)の問題が途中答案になってしまうほどでした。

(4)商法(会社法)
 問1:譲渡制限株式についての譲渡の効力(30点)
 問2:総会決議の効力を争うために、いかなる主張できるか(70点)
 と論点は問題文を見るだけで判断することができます。問2は、株式譲渡の効力が相対的無効であるときに株主総会の議決権を有するのは誰か、及び定足数、議決過半数を欠く場合並びに招集通知を欠く場合の処理について、株主総会決議取消しの訴え(会社法831条)にのせて書く問題だったと思います。
 株主総会決議取消しの訴え(会社法831条)を指摘する前に時間が着てしまったので、落ちるかなと思ったのですが、問題ありませんでした。総会の瑕疵事由については、上記に書いたことを指摘しているので、なんだかんだで点数が付いていたのだと思います。

その3へ

2016年慶應法科大学院(LS)受験について

法科大学院(LS)入試
09 /25 2016

 9月3日に慶應LSを受験し合格しましたので、その体験、感想を書こうと思います。

 試験会場がかなり大きな会場で一部屋に200人以上がいました。大学受験では珍しくない光景ですが、中央、早稲田LSを受けず中小規模のLSを受けていた私にとっては、驚きの光景でした。まあ、受験人数を調べれば事前に分かることでしたが…

 試験は、論文形式のみで、過去には独自の短答試験を課したり、法学検定の法学既習者試験の受検を必須としていましたが、今年度(2016年受験)は、短答もなく、既習者試験は任意のものとなりました。面接もありません。

 六法は貸与されるので、持っていく必要はありません。貸与された六法は第一法規の法科大学院試験六法です。

 一番伝えたいことは、論文試験の解答用紙は、表面が1頁、2頁で、裏面が3頁、4頁となっています(予備論文とほぼ同じ形式)。しかし、大抵の受験生が表面か裏面の3頁前半で答案を終えているということです。試験時間的にも内容的にも2~3頁で答案が完成するので、紙面が足りなくなる心配は不要ですし、逆に分量が足りないのではないかという不安も必要ありません。

 さて、試験の内容です。
(1)憲法
 登山に際して登山者の氏名、登山の予定等を知事に届出なければならないと定める条例が、憲法13条からを導き出だされる「登山する自由」に対して合憲であるかの判断と、届出をしないで登山をし、迷子になって巡回中の職員に助けられた者が、過料5万円を上限とする罰則により5万円の処分を受けたことが比例原則に反しないかを聞いてきました。
 登山する自由というマニアックな内容だったので、かなりの人が面食らったと思います。合否は、比例原則(処分違憲)に触れられるか、基本的なことが書けているのかというところだったと思います。なお、私は、プライバシーについては触れませんでした。
(2)刑法
 問題を要約すると、強姦事件が発生したと勘違いした甲が、Bを防衛する意思で、Aを殴り、その弾みでBも傷害を負った。救急車が到着したが、受け入れ先の病院が輸送拒否を立て続けにしたために、他県の病院に搬送したが、Aが亡くなった。なお、すぐに搬送していれば助かったかもしれない。というものです。
 主要な論点は、具体的事実の錯誤(もしかしたら抽象的事実の錯誤かもしれません。)、誤想防衛、因果関係の判断の3点で、さらに前2者の「故意」が構成要件的故意と責任故意であるという故意の体系の理解ができているか、論理矛盾していないかということを聞いている試験でした。
 私が基本書としている基本刑法でほぼすべての論点に対応できたので、自信が付いた問題でもあります。

 2016年慶應法科大学院(LS)受験について その2 (民法、商法)に続きます。

水刀

2017年4月、LSに入学しました。