刑法の基本書 - ほのぼのと司法試験に挑戦

「最新重要判例250 刑法」が発売!

刑法の基本書
02 /27 2017

 前田先生の刑法判例集が2017年2月21日に発売されました。刑法の最新判例集が欲しい人におすすめします。

 判例の掲載数は264個で、刑法総論・各論について1判例1頁で解説がなされています。判例百選よりも安く済むので、節約したい人にもおすすめできる判例集です。




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【行為無価値】刑法の基本書紹介

刑法の基本書
11 /22 2016

 行為無価値の立場から書かれた基本書で、おすすめする基本書を3つ+α紹介したいと思います。行為無価値の基本書というと理論的一貫性がない(刑法の体系がしっかりしていない)という印象を持つ人もいるかもしれませんが、判例に依拠せず行為無価値の立場から学者が書いた基本書であれば、理論的一貫性が保たれていますし、そもそも判例に依拠しても司法試験レベルまでは問題にならないです。

 また、判例に沿った基本書は、学者の独自説に惑わされることがなく、癖のない基本書として使うことができるので、初学者の人には、判例に依拠した行為無価値の基本書(下記の(1))をおすすめします。


(1)司法協会 刑法総論講義案

 裁判所職員のために書かれた司法協会 刑法総論講義案です。判例の立場から書かれ、学説に翻弄されずに、不必要な学説を省き、読者に必要なことを分かりやすく伝えています。
 司法試験の刑法に必要な最小限の知識を理解させることに特化した基本書となっているので、広く様々な人におすすめできます。横書き483頁で書かれ上から下へすらすらと読むことができるので、特に、刑法を最初に勉強する人におすすめする基本書であり、また、学説の対立に疲れた人にもおすすめできる基本書です。

 詳しい感想は、司法協会 刑法総論講義案 の記事をご覧ください。


(2)基本刑法

 判例の見解に立ち、4人の学者が作った珍しい基本書です。
 最初の刑法の基本書としても使えるのですが、一般的な刑法基本書と同様に学説の紹介が多く立ち止まって考える必要に迫られるので、司法協会と比較すると、基本書を通読するには時間がかかります。それゆえ、初めて刑法を勉強する人にはおすすめしません。また、判例の引用も司法協会の方が多いです。
 基本刑法の利点としては、学者が最新の学説を踏まえて書かれているので、学説が重要視する論点に触れることができ、また、法科大学院生を意識して書かれているので、学生が勘違いしやすい点、難しいと感じる点についての記述があることが魅力的です。
 例えば、危険の現実化の論証の仕方を詳しく説明していることを挙げることができます。危険の現実化それ自体を扱っている書籍は多いですが、論証の仕方(言い換えれば実際の使い方)を説明するのは、私の知る限りこの基本書だけでしょう。実際、慶應法科大学院の入試では、基本刑法のこの部分の解説が役に立ちました。
 初学者が手にすべき基本書というよりも、司法試験の論文試験を強く意識した刑法の基本書という感じです。ある程度刑法を勉強した司法試験受験生にとって目から鱗が落ちる記述が多く、論文試験まで見据えた刑法の基本書が欲しいという人向けです。

 詳しい感想は、基本刑法 の記事をご覧ください。


(3)刑法総論 高橋則夫

 行為無価値の学者が書いた刑法総論の基本書です。
 判例というよりも、行為無価値の立場から書かれたものです。理論的な一貫性があるので、刑法を理論的に理解したい人におすすめする基本書です。また、共同正犯については、司法協会と親和性が高いので、司法協会の共同正犯について理解しづらいと感じるのであれば、この基本書を併用するのもひとつの手です。
 (以上は、第2版の感想です。最新版については、確認していません。)

 詳しい感想は、刑法総論 高橋則夫 の記事をご覧ください。


(4)井田良 講義刑法学・総論 という評価が高い刑法基本書もありますが、この刑法の基本書については読んでいません。ただ、上記3つの刑法基本書とならんで評判がいいので、検討してみる価値はあると思います。各論についても、講義刑法学・各論が、2016年12月5日に発売されています。


(5)刑法講義総論 大谷實
 大谷實先生の刑法基本書です。昔の司法試験受験生に愛されていた刑法の基本書であり、行為無価値に立ちます。社会的相当性に頼っている部分は多くなく、それでいて判例寄りの見解をうまく理由付けして示しているので、今なお使える基本書です。

■ (行為無価値)刑法の基本書のまとめ


 刑法を始めて勉強する人、また、勉強量を抑えたいと考えている司法書士、公務員試験対策には、(1)刑法総論講義案 司法協会をおすすめします。結果無価値の基本書を使うと判例との整合性を調べる必要性が出てきますが、判例に準拠する刑法総論講義案であれば判例の整合性を考えずに使用することができるので、勉強の効率が上がります。
 司法試験受験生で、行為無価値の刑法基本書を使いたいと考える人であれば、(1)、(2)どちらかの基本書を使うことをおすすめします。



司法協会 刑法総論講義案の紹介(感想 評価)

刑法の基本書
11 /18 2016


 司法協会から出版されている刑法総論講義案の紹介(感想 評価)です。

 2016年7月に4訂版が出版され、最新の判例のフォローがなされ、この1冊のみで刑法総論の基本書として使うことができるようになりました。因果関係論における危険の現実化等の説明が追加され、最新の議論に対応した基本書となったことは、非常に大きいです。

 元々司法協会の本は、裁判所職員のための教材という性格がありますので、学者本にありがちな自説の押し付け等がなく、判例に沿って説明がなされています。そのため、刑法における学説の対立にうんざりした人に支持されている基本書です。

 「我々実務家としては」という言葉が示しているように、司法試験に無駄な学説は省いているところは非常に評価が高いところです。もちろん、最低限の学説、例えば、前述の相当因果関係説、危険の現実化といった因果関係論や、具体的符号説等の構成要件的故意の学説などの説明はなされています。

 判例に依拠し行為無価値から解説がなされている基本書として、この基本書の他に基本刑法が存在しています。基本刑法と説明が似ているところは多いです。似ているというよりもほぼ同じではないかと感じるところもありました。
 違いは2点、(1)司法試験に最低限必要な学説を残して、それ以外の不要な学説を省いていること、(2)判例の引用の数が多いことです。この違いにより、刑法を最初に勉強する人にとって早く刑法全体を理解することができ、不必要に学説に振り回されるという危険を回避することができるので、刑法の初心者や刑法を最小限の勉強時間で仕上げたい思う司法試験受験生におすすめできます。

 3訂補訂版では判例の引用は129件だったのが、今回148件に増え、最新の判例が追加されています。最新の判例を含め多くの判例に触れることができるのが、基本刑法との大きな違いであり、長所といえます。

 刑法総論講義案は、司法試験に適切な範囲について十分な説明がなされ、刑法の初心者にも分かりやすいと評判の基本書なので、広く様々な人にオススメできます。刑法総論の基本書で一番オススメできる基本書です。
 

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刑法総論 高橋則夫 の紹介 (感想 評価)

刑法の基本書
10 /23 2016

 高橋則夫先生の刑法総論 第3版が発売されました。
 行為無価値で理論的に説明がなされている基本書です。刑法総論を深く詳しく説明がなされているので、しっかりと行為無価値の立場から理解がしたい人にお勧めする本です。(注意:私が読んだことがあるのは、第2版ですので、以下頁数を除いて、第2版を基準として記事を書いています。)

 現状、行為無価値の基本書でいえば、基本刑法や刑法総論講義案(司法協会)という司法試験受験生に高い評価を受けている基本書があります。これらの基本書が400頁位であるのに対して、この基本書は624頁と比較的ページ数が長い基本書であり、その上判例の引用を本文で行うために判例部分を飛ばして読むことはできず、何度も読み返すことに時間がかかる基本書です。逆に言えば、じっくりと理論的に行為無価値を理解したいと思う人が使う基本書です。

 共同正犯についての考え方は、司法協会や実務と親和性が高いです。そのため、共同正犯において判例・実務の考え方で論述したいと考えているが、共同正犯の迷路に迷い込んでしまったという人におすすめできます。
 
 論証を自作する場合やレポートを書く場合に、行為無価値の立場の本でよく参照されるのが、この本です。独学の人、基本刑法、講義案で基本書の説明が不十分であると感じた人、じっくりと理論的に行為無価値を理解したいと思う人に、お勧めできる基本書です。

 購入検討は、こちらのリンクから。


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-関連記事-
基本刑法の評価、感想
・(外部サイト)刑法総論(高橋 則夫)

基本刑法の紹介(評価 感想)

刑法の基本書
09 /24 2016

 基本刑法I 総論 各論 2版 (大塚 裕史, 十河 太朗, 塩谷 毅, 豊田 兼彦) の評価、感想です。
(1)総論
 基本刑法は、最近評価が上がっている基本書です。判例の立場から学者が解説をしているという珍しい本で、司法試験に必要不可欠な所を解説しているのはもちろん、危険の現実化の論証の仕方や抽象的事実の錯誤で学生が陥りやすいミスを指摘するなど他の学者本では学習しにくい点にもしっかりと解説してあるので、他の基本書を持っていても読む価値があります。30講においては、「事例問題の解き方」を解説しているので、事例問題が苦手な司法試験、予備試験受験生、論文問題が学部試験に出る場合には法学部生にもおすすめできます。

 司法協会の刑法総論講義案の紹介(感想 評価) も同じ判例の立場から説明がなされていますから、矛盾なく刑法総論を理解することができるので、司法協会の講義案との相性がいいです。講義案を基本書としている人は、副読本として、お勧めすることができます。

(2)各論
 各論についても判例の立場から書かれ、非常に珍しいのですが構成要件の解説→論点解説といった順で解説がなされています。読んでいる人が、論点を明確に認識することができるというところが最大の利点でしょう。

 ただ、各論は、西田刑法を始めとしていい基本書が多数存在していますから、この本を使う利点が高いのかと言われると、微妙なところです。また、論点は明確に示されているのですが、なぜこれが論点になるのかという問題提起部分について特に指摘が足りない気がします。

 とはいえ、判例の立場から学者が論点を明確に示した基本書であり、この基本書以上に論点把握ができる学者本は他にありません。とにかく刑法各論の論点を知りたいという人に、お勧めできます。(この基本書を使って収録されている論点が把握できないことはありえないです。)

 各論を勉強する時間的余裕がある人は西田各論を、時間的余裕がない人はこの基本刑法各論をお勧めします。


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水刀

2017年4月、LSに入学しました。