狭義の商法 - ほのぼのと司法試験に挑戦

商法第9章 寄託 商法593条~596条

狭義の商法
01 /07 2017

 狭義の商法の第9章の現代語訳を作ったので、公開したいと思います。

第九章 寄託 第一節 総則
商法593条  商人がその営業の範囲内において、寄託を受けたときは、報酬を受けなかったときであっても、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
商法594条1項 旅店、飲食店、浴場その他客の来集を目的とする場屋の主人は、客より寄託を受けた物品の滅失又は毀損につき、その不可抗力によることを証明することができなければ、損害賠償責任を免れることができない。
2項 客が特に寄託しなかった物品であっても場屋中に携帯したる物品が場屋の主人又はその使用人の不注意によって滅失又は毀損したときは場屋の主人は損害賠償責任を負う。
3項 客の携帯品につき責任を負わない旨を告示した場合であっても、場屋の主人は前二項の責任を免れることができない。
商法595条  貨幣、有価証券その他の高価品については、客がその種類及び価額を明告してこれを前条の場屋の主人に寄託したのでなければ、その場屋の主人はその物品の滅失又は毀損によって生じた損害賠償の責任を負わない。
商法596条  前二条の責任は、場屋の主人が寄託物を返還し又は客が携帯品を持去した後、一年を経過したときは、時効によって消滅する。
2項 前項の期間は物品の全部滅失の場合においては、客が場屋を去った時よりこれを起算する。
3項 前二項の規定は、場屋の主人が悪意の場合には、これを適用しない。

-簡単な解説-
(1) 「寄託とは、受寄者が寄託者のために物の保管をなすことを約し、その物を受け取ることによって成立する契約であり、物の保管という役務の提供と、保管の事務処理という委任の性質を帯びた契約」(東京高等裁判所判例平成16年12月22日)のことです。ちなみに、一般的なロッカーの場合であれば、設置者が、ロッカーの使用の有無、使用された場合の各ボックスの内容物を把握していないために、寄託契約は成立しないとするのが裁判例です。ロッカーの場合には、場所を貸すものとして賃貸借となります。
(2) 「客の来集を目的とする場屋」とは、「公衆の来集に適する人的・物的施設を設け、客にこれを利用させるもの」(同上記判例)をいい、利用者が特定の者に限られているわけではなく、一般的に利用が可能な施設であれば、客の来集を目的とする場屋といえます。

*「主人」は、「営業主」と言い換えてもいいと思いましたが、一応、原文のまま記載しました。
*平成27年度行政書士試験問36で出題された範囲です。

-原文-
  第九章 寄託
    第一節 総則
第五百九十三条  商人カ其営業ノ範囲内ニ於テ寄託ヲ受ケタルトキハ報酬ヲ受ケサルトキト雖モ善良ナル管理者ノ注意ヲ為スコトヲ要ス
第五百九十四条  旅店、飲食店、浴場其他客ノ来集ヲ目的トスル場屋ノ主人ハ客ヨリ寄託ヲ受ケタル物品ノ滅失又ハ毀損ニ付キ其不可抗力ニ因リタルコトヲ証明スルニ非サレハ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス
○2 客カ特ニ寄託セサル物品ト雖モ場屋中ニ携帯シタル物品カ場屋ノ主人又ハ其使用人ノ不注意ニ因リテ滅失又ハ毀損シタルトキハ場屋ノ主人ハ損害賠償ノ責ニ任ス
○3 客ノ携帯品ニ付キ責任ヲ負ハサル旨ヲ告示シタルトキト雖モ場屋ノ主人ハ前二項ノ責任ヲ免ルルコトヲ得ス
第五百九十五条  貨幣、有価証券其他ノ高価品ニ付テハ客カ其種類及ヒ価額ヲ明告シテ之ヲ前条ノ場屋ノ主人ニ寄託シタルニ非サレハ其場屋ノ主人ハ其物品ノ滅失又ハ毀損ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任セス
第五百九十六条  前二条ノ責任ハ場屋ノ主人カ寄託物ヲ返還シ又ハ客カ携帯品ヲ持去リタル後一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
○2 前項ノ期間ハ物品ノ全部滅失ノ場合ニ於テハ客カ場屋ヲ去リタル時ヨリ之ヲ起算ス
○3 前二項ノ規定ハ場屋ノ主人ニ悪意アリタル場合ニハ之ヲ適用セス

*「於テハ」とは、「おいては」と読む。

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水刀

2017年4月、LSに入学しました。