論点 - ほのぼのと司法試験に挑戦

重要判例で作られた民事訴訟法論証集に興味ありませんか。【受験新報】

基本書
02 /12 2017

 重要判例で作る民事訴訟法論証集が掲載されている受験新報の2017年 02 月号が発売されました。
 受験新報は、毎月演習教室で司法試験、予備試験対策の問題と解説を掲載しています。旧司法試験の問題を中心に扱っていますが、一行問題ではなく現行司法試験に似た問題が出題され、学者が当該問題について解説を行っています。問題を見ていくと、LS入試問題を思い出したので、LS入試を控えている人におすすめです。
 さらに、受験新報 2017年 02 月号では、特集として、重要判例で作る民事訴訟法論証集が掲載され、全部で118個の論証集を見ることができます。こちらは、広く司法試験受験生にお勧めできるので、これのために受験新報2月号を買ってもいいと思います。
 ちなみに、論文答案の書き方講座は民事訴訟法の複雑訴訟を、憲法 論文の流儀は職業選択の自由を扱っています。

 重要判例で作る民事訴訟法論証集が掲載された受験新報の2017年02 月号は、買ってよかったと思った法学雑誌でした。気になる人は、下記リンクからご検討ください。




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【会社法 重要判例】最高裁判所第3小法廷判例平成24年4月24日

会社法
01 /12 2017

 「非公開会社において株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされた場合,当該特別決議を欠く瑕疵は上記株式発行の無効原因になる。」という判示をした有名な判例です。会社法判例百選 第3版 にも掲載されている重要な判例です。以下、一部を抜粋して紹介します。

「 旧商法280条ノ21第1項は,株主以外の者に対し特に有利な条件をもって新株予約権を発行する場合には,同項所定の事項につき株主総会の特別決議を要する旨を定めるが,同項に基づく特別決議によって新株予約権の行使条件の定めを取締役会に委任することは許容されると解されるところ,株主総会は,当該会社の経営状態や社会経済状況等の株主総会当時の諸事情を踏まえて新株予約権の発行を決議するのであるから,行使条件の定めについての委任も,別途明示の委任がない限り,株主総会当時の諸事情の下における適切な行使条件を定めることを委任する趣旨のものであり,一旦定められた行使条件を新株予約権の発行後に適宜実質的に変更することまで委任する趣旨のものであるとは解されない。また,上記委任に基づき定められた行使条件を付して新株予約権が発行された後に,取締役会の決議によって行使条件を変更し,これに沿って新株予約権を割り当てる契約の内容を変更することは,その変更が新株予約権の内容の実質的な変更に至らない行使条件の細目的な変更にとどまるものでない限り,新たに新株予約権を発行したものというに等しく,それは新株予約権を発行するにはその都度株主総会の決議を要するものとした旧商法280条ノ21第1項の趣旨にも反するものというべきである。そうであれば,取締役会が旧商法280条ノ21第1項に基づく株主総会決議による委任を受けて新株予約権の行使条件を定めた場合に,新株予約権の発行後に上記行使条件を変更することができる旨の明示の委任がされているのであれば格別,そのような委任がないときは,当該新株予約権の発行後に上記行使条件を取締役会決議によって変更することは原則として許されず,これを変更する取締役会決議は,上記株主総会決議による委任に基づき定められた新株予約権の行使条件の細目的な変更をするにとどまるものであるときを除き,無効と解するのが相当である。
 これを本件についてみると,前記事実関係によれば,本件総会決議による本件委任を受けた取締役会決議に基づき,上場条件をその行使条件と定めて本件新株予約権が発行されたものとみるべきところ,本件総会決議において,取締役会決議により一旦定められた行使条件を変更することができる旨の明示的な委任がされたことはうかがわれない。そして,上場条件の撤廃が行使条件の細目的な変更に当たるとみる余地はないから,本件変更決議のうち上場条件を撤廃する部分は無効というべきである。
(2) 以上のように,本件変更決議のうちの上場条件を撤廃する部分が無効である以上,本件変更決議に従い上場条件が撤廃されたものとしてされた補助参加人らによる本件新株予約権の行使は,当初定められた行使条件に反するものである。そこで,行使条件に反した新株予約権の行使による株式発行の効力について検討する。
 会社法上,公開会社(同法2条5号所定の公開会社をいう。以下同じ。)については,募集株式の発行は資金調達の一環として取締役会による業務執行に準ずるものとして位置付けられ,発行可能株式総数の範囲内で,原則として取締役会において募集事項を決定して募集株式が発行される(同法201条1項,199条)のに対し,公開会社でない株式会社(以下「非公開会社」という。)については,募集事項の決定は取締役会の権限とはされず,株主割当て以外の方法により募集株式を発行するためには,取締役(取締役会設置会社にあっては,取締役会)に委任した場合を除き,株主総会の特別決議によって募集事項を決定することを要し(同法199条),また,株式発行無効の訴えの提訴期間も,公開会社の場合は6箇月であるのに対し,非公開会社の場合には1年とされている(同法828条1項2号)。これらの点に鑑みれば,非公開会社については,その性質上,会社の支配権に関わる持株比率の維持に係る既存株主の利益の保護を重視し,その意思に反する株式の発行は株式発行無効の訴えにより救済するというのが会社法の趣旨と解されるのであり,非公開会社において,株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされた場合,その発行手続には重大な法令違反があり,この瑕疵は上記株式発行の無効原因になると解するのが相当である。所論引用の判例(最高裁昭和32年(オ)第79号同36年3月31日第二小法廷判決・民集15巻3号645頁,最高裁平成2年(オ)第391号同6年7月14日第一小法廷判決・裁判集民事172号771頁)は,事案を異にし,本件に適切でない。
 そして,非公開会社が株主割当て以外の方法により発行した新株予約権に株主総会によって行使条件が付された場合に,この行使条件が当該新株予約権を発行した趣旨に照らして当該新株予約権の重要な内容を構成しているときは,上記行使条件に反した新株予約権の行使による株式の発行は,これにより既存株主の持株比率がその意思に反して影響を受けることになる点において,株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされた場合と異なるところはないから,上記の新株予約権の行使による株式の発行には,無効原因があると解するのが相当である。
 これを本件についてみると,本件総会決議の意味するところは,本件総会決議の趣旨に沿うものである限り,取締役会決議に基づき定められる行使条件をもって,本件総会決議に基づくものとして本件新株予約権の内容を具体的に確定させることにあると解されるところ,上場条件は,本件総会決議による委任を受けた取締役会の決議に基づき本件総会決議の趣旨に沿って定められた行使条件であるから,株主総会によって付された行使条件であるとみることができる。また,本件新株予約権が経営陣の意欲や士気の高揚を目的として発行されたことからすると,上場条件はその目的を実現するための動機付けとなるものとして,本件新株予約権の重要な内容を構成していることも明らかである。したがって,上場条件に反する本件新株予約権の行使による本件株式発行には,無効原因がある。」(同判例から)。

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【会社法】 最高裁判所第一小法廷判決 平成27年2月19日

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【会社法】 最高裁判所第一小法廷判決 平成27年2月19日

会社法
01 /04 2017

  非上場会社が株主以外の者に発行した新株の発行価額が商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ2第2項にいう「特ニ有利ナル発行価額」に当たらない場合についての判断についての重要な判決を紹介します。いわゆる有利発行の論点であり、現行会社法でいえば、会社法199条3項の「特に有利な金額」の論点に関するものです。会社法判例百選 第3版 にも掲載されている重要な判例です。

「 非上場会社の株価の算定については,簿価純資産法,時価純資産法,配当還元法,収益還元法,DCF法,類似会社比準法など様々な評価手法が存在しているのであって,どのような場合にどの評価手法を用いるべきかについて明確な判断基準が確立されているというわけではない。また,個々の評価手法においても,将来の収益,フリーキャッシュフロー等の予測値や,還元率,割引率等の数値,類似会社の範囲など,ある程度の幅のある判断要素が含まれていることが少なくない。株価の算定に関する上記のような状況に鑑みると,取締役会が,新株発行当時,客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって発行価額を決定していたにもかかわらず,裁判所が,事後的に,他の評価手法を用いたり,異なる予測値等を採用したりするなどして,改めて株価の算定を行った上,その算定結果と現実の発行価額とを比較して「特ニ有利ナル発行価額」に当たるか否かを判断するのは,取締役らの予測可能性を害することともなり,相当ではないというべきである。
 したがって,非上場会社が株主以外の者に新株を発行するに際し,客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって発行価額が決定されていたといえる場合には,その発行価額は,特別の事情のない限り,「特ニ有利ナル発行価額」には当たらないと解するのが相当である。」(最高裁判所第一小法廷判決 平成27年2月19日から抜粋)

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225条が172条を準用せず、225条4項の準用する168条6項が139条を準用していない

刑事訴訟法
11 /16 2016

 「225条が172条を準用せず、225条4項の準用する168条6項が139条を準用していない」

 この意味が分かるか分からないかで、刑事訴訟法を勉強しているか否かが判断できるのでは、と思っています。

 これは、強制採血の論証の際に良く使われる言い回しですが、捜査機関が行う鑑定処分には直接強制をする根拠がないことを条文を提示して説明する際に使われます。

【1】
 刑事訴訟法(以下同法略)223条は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者…に鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。」と規定し、捜査機関が鑑定の嘱託ができることを規定しています。そして、鑑定受託者は、「裁判官の許可を受けて、168条1項に規定する処分―すなわち、身体検査―をすることができる。」(225条)と規定されていることをまず押さえる必要があります。

【2】
 その上で、「鑑定人」(166条)は、172条により直接強制を請求することができるけれども、鑑定受託者には、225条が172条の準用をせず、さらに、225条で準用される「第百六十八条第二項乃至第四項及び第六項の規定」により準用される「第百三十一条、第百三十七条、第百三十八条及び第百四十条の規定」は、間接強制の条文であり、139条という強制処分の規定を準用していないので、捜査機関が行う鑑定処分には直接強制をする根拠がないことが明らかになります。

【3】まとめ
 結局、分かりづらいですね…、呪文のような気もします。ですが、条文を丁寧に引いていけば理解することができるので、ぜひ条文を引いて理解して欲しいと思います。
 まあ、そのまま暗記するのも一つの手だと思います。

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強制処分の論証

刑事訴訟法
10 /10 2016

 今まで、強制処分の論証は、以下のようなものを使ってきた。

【論証】
 強制処分とは、強制処分法定主義、令状主義という厳格な手続に服する処分であるから、個人の意思に反し、個人の重要な権利利益を制限する処分をいう。
【論証、以上】

 しかし、H27年採点実感 9頁 によると、『各捜査が強制処分か…を検討する必要がある。…この問題は,刑事訴訟法第197条第1項ただし書の「強制の処分」の意義をどのように解するかという解釈問題であるにもかかわらず,そのことが十分意識されていない答案,そのこととも関係して,強制処分であることと令状主義とを何らの説明も加えることなく直結させ,強制処分が服する法的規律について,法定主義と令状主義とを混同しているのではないかと見られる答案などが散見された。また,強制処分のメルクマールとして,「権利・利益の制約」に着目するとすればそれはなぜか,なぜ「重要な」権利・利益に限られるのか,なぜ「身体,住居,財産等」という判例の文言を「重要な権利・利益」と等置できるのか等の点について,十分な理由付けに欠ける答案が少なくなかった。』 と示されている。

 とすると、(1)解釈問題であること、(2)強制処分と令状主義の直結させること、(3)なぜ「身体,住居,財産等」という判例の文言を「重要な権利・利益」と等置できるのかということ、以上の3点について減点されてしまう論証を使っていたことになる。

 少なくとも、(3)については、現に刑事訴訟法が定めている強制処分と同程度に厳格な要件・手続を定めて保護するに値するだけの重要な権利利益と論証することによって、これを克服することができると考えている。
 しかし、これでは、かなり論証が長くなってしまう…。

 そこで、論証を刷新することにした。最判昭和51年3月16日刑集第30巻2号187頁 の定義を使ったものである。

【論証案】

 「強制処分」(刑事訴訟法197条1項但書)は、「特別の定のある場合」のみ、行うことができ(強制処分法定主義、同但書)、現に法定された手続(憲法33、35条、令状主義、現行犯逮捕等)に服する。もっとも、何が強制処分にあたるのかを法が明確にしていないため、解釈によって明らかにする必要がある。

 上記に示した厳格な手続に服することに鑑みると、強制処分とは、個人の意思を制圧し,身体,住居,財産等に制約を加える処分をいうと解すべきである。

【論証案、以上】

 まだまだ改善の余地があるかもしれませんが、一応これで行きたいと思います。何かあればコメントで教えていただければうれしいです。

【改善案、規範定立部分のみを修正する案である。】

 強制処分法定主義の意義は、捜査上の必要性がどれだけ高いとしても、抽象的な捜査根拠である刑事訴訟法197条1項本文(任意捜査)によって行うことができない類型の捜査について、強制処分として具体的な根拠が必要になることを示すことである。そして、被侵害利益を個人が処分することができること、憲法33,35条に規定される被侵害利益に匹敵する捜査については具体的な根拠を要するべき蓋然性があることからして、強制処分とは、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加える処分をいうと解すべきである。

【改善案おわり】


 最判平成29年3月15日によって、GPS捜査が強制処分である旨の判断がなされました。これを受けて改善案を含めて論証を変更する必要がある現在考慮中です。

 
 改善案について2017年2月16日に追記を行い、最判平成29年3月15日を受けて同判決が存在し、論証の変更が必要になるかもしれない旨の追記を行いました。







 コメントの注意点、反映等については、こちら から。

水刀

2017年4月、LSに入学しました。